2019年01月11日

ホーム AC パワー アナライザ ⇒ 家庭の電気消費を見える化する

その1:何ができるのか?画面の説明

このブログのタイトルを「実験室」と付けときながらあまり実験ネタが少なく、寂しいです。これは当初の目論見が外れた事を意味しています。最近になって時間に余裕ができたので、ぼちぼち実験ネタを増やしていきたいと思っています。ついでに、YouTubeにも関連動画をアップロードしました。
その@ https://youtu.be/gHKxH853j_s
そのA https://youtu.be/YR_P45ZOi1E
そのB https://youtu.be/RvSmkthdeP0

5年くらい前に50%の完成度で中断していた(いや、当時はそれなりに完成と思っていたのですが、今から考えると甘かった…)プロジェクトを復活・進化させた「ホーム AC パワー アナライザ」です。当実験室が開発したオリジナル ソフトウエアで、どなたでも無料で使用できます。とりあえず、説明はパソコン初心者を脱した人、電気の基礎的な知識(オームの法則程度?)がある人を対象に書きたいと思います。

ソフトのダウンロードはここ (2019/02/14, Ver1.15)
Home_AC_Power_Analyser.zip
ダウンロードしようとすると、ブラウザから「一般的にダウンロードされているファイルではないので危害を与える可能性があます」と言われ、破棄を勧められることがあります。危害は与えませんので、安心して右側の「^」から「継続」をクリックしてください。

その1:何ができるのか?画面の説明
その2:応用例
その3:ソフトウエアとインターフェース
その4:ダミーインターフェースを使用して試してみる
その5:インターフェースの製作(個別機器用)と校正
その6:インターフェースの製作(家庭の全体の消費電力用)と校正

1.何ができるのか?
ホーム AC パワー アナライザはWindowsパソコンのソフトウエアとインターフェースから構成されます。
第一の目的は消費電力の測定です。使用するインターフェースにより、個別の機器の消費電力、または家庭の全体の消費電力を測り、変化の推移を記録することができます。
第二の目的として、アナライザと呼ぶからには供給されたAC100Vに対する電気機器の反応を詳細に調べます。供給されている電圧、機器に流れ込む電流とその波形、消費される電力(皮相電力と有効電力)、電圧に対しての電流の進み/遅れ(位相)、力率、周波数などです。さらに、電圧、電流、電力をグラフ表示し、長期のログを作成します。
ここで、皮相電力、実効電力、位相、力率など聞きなれない言葉が出てきたかもしれません。交流の電力は直流と違って単純に「電圧 X 電流」だけでは計算できません。この理由を当アナライザのグラフ表示を使って、私のYouTubeのチャンネルの「ホームACパワーアナライザそのB」で解りやすく説明しています。というわけで、第三の目的は教育と言えるかもです。消費電力の測定だけに興味がある方は、アナライザ機能は無視してください。

インターフェースを製作する前に、とりあえずホーム AC パワー アナライザのソフトウエアの機能を確認したい方、または測定はできなくても良いので、皮相電力、有効電力、位相、力率などの勉強に使用したい方はパソコンを2台(1台はWinXP以前の古いロースペックのパソコンでも可、スマートフォンでも可、)を用意してください。1台(Win Vista以降)にホーム AC パワー アナライザのソフトウエアを走らせ、別のパソコンかスマホをオーディオ信号ジェネレーターに使用して、オーディオケーブルで接続すればこのソフトを試すことができます。

2.画面の説明
データ表示エリア

測定対象機器の有効電力(実際に消費されている電力)をアナログとデジタルで表示します。アナログメータの最小値と最大値は任意に設定できます。電圧、電流、周波数、積算電力、および専門的になりますが、皮相電力、位相角、力率、クレストファクタも表示できます。
データ表示エリア.jpg















波形表示エリア
電圧、電流、電力の波形を表示します。これも専門的になりますが、電圧と電流の位相ずれ(波が前後にずれる)と電流の波形は交流電力の測定に重要な要素です。
表示はオシロスコープに似ていますが、垂直軸の高さはそれぞれの大きさを表しません。常に電圧、電流、電力のピーク値をそれぞれ0.9、0.8、0.7の高さで表示します。水平軸は周波数にかかわらず、1サイクルを360度で表し、前後の45度も表示します。
波形表示エリア.jpg















有効電力推移表示エリア
過去1分(1秒毎)、過去1時間(1分毎)、過去1日(1時間毎)の電力の推移をグラフ表示します。下の画面イメージは過去1日の表示でバーグラフを使用しています。過去1分、過去1時間の表示は線グラブを使用しています。
過去の推移表示エリア.jpg















ログ設定エリア
さらに長期に観測したい場合、およびエクセルなどにデータを取り込みたい場合はテキストファイルに1秒毎、1分毎、1時間毎に記録します。
ログ設定エリア.jpg















キャリブレーションと設定エリア
個々のパソコンとインターフェースに合わせた校正と設定を行う窓が開きます。
キャリブレーションと設定エリア.jpg















ちなみに、家庭の全体の消費電力を測る設定で、家に取り付けられている電力会社のスマートメーターの表示と比較すると、約一ヵ月で -0.993% の誤差でした。当初思っていたより誤差は少なく、実用になると思っています。この誤差のほとんどは設定時のキャリブレーションに起因すると思われます。

「その2:応用例」に続きます。

2019年01月12日

ホーム AC パワー アナライザ ⇒ 家庭の電気消費を見える化する

その2:応用例

1.液晶テレビの使用時の電力と待機電力
待機電力では優等生と思われている液晶テレビ。待機電力をテーマにしているWebサイトなどでも「液晶テレビの待機電力は0.5W程度」とか、「問題にならないほど少ない」と書いているサイトもあります。本当かなあ??? カタログデータを基に電気代の計算をしているサイトもあります。
さて、今回の測定の対象は突然死した初代液晶テレビに代わり、2018年9月に購入した最新の4K液晶テレビ、SONY ブラビア55インチ(KJ-55X8500F)です。取説には消費電力181W、リモコン待機時0.5W(データ取得時、ネットワーク接続時を除く)とあります。ちなみに、パナソニックのWebサイトのよくある質問の「テレビの待機電力は?」の回答も、「最近のテレビは待機時に最低限の回路しか通電させない工夫がされており、ほとんどのテレビで 0.1W〜0.3W前後となっています。ただし待機時でも番組表データ受信時や放送ダウンロード時はチューナーが作動するため、一時的ではありますが、7W〜30Wを消費します」。この「…時を除く」や「一時的」が具体的には書かれていませんね…怪しい。調べてみなければ…。
調べました。これが「…時を除く」や「一時的」の正体です。下のグラフは我が家のある日の24時間分のログの拡張子をLOGからCSVに変えて、エクセルに読み込み、グラフを作成したものです。グラフをクリックすると拡大できます。
生のログデータはこちらからダウンロードできます。Bravia 2019_01_11-14_53_31_Min.LOG
Bravia_photo.png

Bravia power.png

「…時を除く」や「一時的」はログが1分間隔だと1つの山がとがって見えるので、1秒間隔でログをとってみたのがこちらです。
Bravia standby power.png

テレビを見ているときは平均90W前後で定格値よりもかなり良いです(ちなみに定格消費電力はその機器の最大消費電力なので、少ないのが普通です)。ホーム ACパワー アナライザのアナログメータを見ていると、画面が暗いときは消費電力が60Wくらいまで下がります。昔の液晶テレビは液晶がシャッターになって画面を暗くしていたのでバックライトの明るさは一定だったのですが、最近のテレビは液晶とパックライトLEDをうまくシンクロさせて画面の明るさを変えているようです。節電とコントラスト比の一石二鳥です、すごいな。映画などの明暗を効果的に使用している映像を見るときは節電効果があるでしょう。でも、ニュースとかバラエティー番組ではあまり効果はないかもしれません。待機電力(メーカー定義?業界定義?通商産業省定義?、たいていこの手の基準は監督官庁主導で業界団体が決める)も0.3Wくらいで優秀です。ですが…、スイッチを切っているときは約6分おきに20Wくらいまで上がり、1分半から長いときは20分以上続きます。つまり、テレビを消しているときの消費電力は測定のタイミングにもよりますが、平均すると6.5〜8Wくらいです。翌日になっても変わりません。ということは、ユーザー定義での待機電力は約7Wにならないですか?昔のブラウン管テレビのヒーター予熱(スイッチを入れたらすぐに画像がでるように)より多いし、他の電子機器に比較してもダントツで多くないですか?一日5時間テレビを見るとして、次にテレビをつけたときにいつでも最新の番組表を見られるようにするのに月に110円くらい払っている計算になります。仮にソニー以外のテレビにも同じ機能がついているとして、日本には5千万世帯あり、世帯当たりの保有台数が1.6台とすると、1か月に88億円分くらい? 少なく見積もっても、何十億円かの電気が最新の番組表のために費やされている!!!
こんなことしなくても、現在では多くの家庭にインターネットが引かれているので、番組表やその他の情報はスイッチを入れた後にインターネットから取り入れるようにすれば、ほとんど待たずに最新の番組表を見られると思うのですが…。そもそも、今のテレビは既にインターネットにつながってるし。何かしがらみがあるのでしょうか?
ちなみに「省エネ設定」があり、これをONにすると、48時間後には本当に睡眠状態になるらしいです。でも、テレビは毎日見るので、48時間後にどうなるか試す機会がありません。

2.冷蔵庫の電力消費
我が家の冷蔵庫は2003年製です。最近の冷蔵庫は消費電力が少なくなっているので、古い機種は早く買い替えた方が良いと言われています。
冷蔵庫はその時々により消費電力が大きく変化します。何もしていない時は6W程度、コンプレッサが回っているときは50〜60Wの消費があります。モーターを使った機器ですが、電流は電子機器のコンデンサ入力特有の角のような尖った波形で、電流位相が40度くらい進んでいます。交流をいったん直流に直し、インバータ制御でコンプレッサのモーター出力を調整しているのでしょう。さらに、一日に一回くらいの割で、30分〜1時間ほど急に300Wくらいに増えます。この時は電流が電圧と同じ正弦波で、位相のずれはほとんどゼロになります。つまり、これは霜取りヒーターが作動していると思われます。その後に一時的に130Wくらいの時もあります。これも位相のずれは無いので霜取りヒーターでしょう。いろいろと、細かく制御しているようです。
我が家の使い方で冬季の一日の電力消費平均は51W程度でした。つまり、1日で1.224kWh、1ヵ月で1028円(28円/kWhで計算)くらいです。
Frig.png

Frig power.png

生データです。Frig 2019_01_10-15_24_17_Min.LOG

我が家でも他に多くの電気機器を使用しているので、測定対象が多くあります。後ほど測定して報告をまとめ、ブログネタにしようと思います。

4.我が家の一日の電気消費
配電盤に専用インターフェースと7インチのWindowsタブレットをセットしています。7インチのWindowsタブレットは4Wほどしか消費しないので、連続して稼働しています。
下は我が家の1月のある日の電気消費です。深夜でも待機電力と冷蔵庫、インターネットモデムなどの24時間稼働の機器で何と200W近く消費しています。6時くらいに起き出し、エアコンを付け、朝食の支度が始まり、最大の電力消費となります。電子レンジ、湯沸しポット、コーヒーメーカー、トースターなど、アナログメータをみていると面白いし、40Aのブレーカーが飛びそうになりハラハラします。我が家はガス床暖房ですので、昼間は電気の消費は少なくなります。ガス床暖房は快適ですが、起動が遅く、能力も低いので朝はエアコンとの併用が必須です。
電流の位相は稼働している機器により大きく変動しますが、常に25〜45度程度進んでいます。電流は電圧のピーク付近で急激に大きくなります。これが、電圧の波形を崩し、電力会社には都合が悪いようです。
HOme power2.png


5.Googleリーモートデスクトップの使用(便利な使い方)
パソコンを使用する場所と実際に電力を測りたい機器がある場所、または配電盤がある場所は別の部屋のことが多いですが、別の部屋にあるインターフェースからオーディオやUSBケーブルを引っ張ってくるのは現実的ではありません。
当実験室には実験専用に使用する古いノートPCや低スペック・低価格のノートPCが数台あります。それらのノートPCにGoogleリーモートデスクトップをインストールして、インターフェースを通して機器に接続しておけば、実験室のメインのパソコンからはもちろん、外出先のパソコンやスマートフォンからでも、ほとんど手元にあるパソコンであるかのように操作できます。ホームACパワー アナライザを実用的に使用するには欠かせないソフトです。
Googleリーモートデスクトップのインストールと使用方法はググるとたくさん出てくるので、ここでは述べません。

その3ではソフトの詳細と電圧・電流の情報をパソコンに送るインターフェースです。


2019年01月14日

ホーム AC パワー アナライザ ⇒ 家庭の電気消費を見える化する
3:ソフトウエアとインターフェース

ソフトウエアはここからダウンロードできます。
Home_AC_Power_Analyser.zip
ダウンロードしようとすると、ブラウザから「一般的にダウンロードされているファイルではないので危害を与える可能性があます」と言われ、破棄を勧められることがあります。
危害は与えませんので、安心して右側の「^」をクリックして「継続」を選択してダウンロードしてください。

1.ソフトウエア
Vista以降のWindows PCで作動するハズです。当実験室にはWin7とWin10のマシンしかないので、VistaやWin8で使えなかったらごめんなさい。XPで働かないのは確認済み。

2.インターフェース
電圧と電流を測るためのセンサーが必要です。
Interface 1A-10A2.pdf
個々の機器の消費電力を測るには、このインターフェース ボックスを使います。中身は100Vから3V程度に電圧を下げるための小さなトランス、交流電流を電圧に変換するカーレントトランス(省略して「CT」)、抵抗が数個、後はスイッチ、フューズ、配線を接続するコネクタ類で、すべて電子部品屋さんやインターネット通販で買えるものです。
Interface distribution board.pdf
家庭全体の電力を測るインターフェースは専用のボックスを使用せずに、写真のように配電盤に組み込んでいます。回路図と写真を載せておきます。回路図には配電盤の省略した回路を含んでおり、製作するのは点線で囲んだ部分です。

電圧を落とすトランスは100Vしか入力しないにもかかわらず、一次側が220Vのトランスを使用しています。これは、220Vトランスの方が電圧波形の再現性が良好なためです。

3.電圧と電流のデータ読み込み
パソコンのオーディオ入力(ライン入力またはマイク入力)の左右のチャンネルを使用して電圧と電流を読み込みます。電圧と電流を別々に読み込む必要がありますので、入力はステレオ(2チャンネル)でなければなりません。最近の小型ノートでは、モノラルのマイク入力しか装備していないとか、スマホなどに使用される出力・入力兼用の4極プラグが使用されており、ステレオ入力ができない機種が多いようです。その場合はUSBでライン入力ができるオーディオ キャプチャ インターフェースを使用してください。
注意:パソコンによっては入力端子にプラグが差し込まれていないとサウンド入力端子の存在が表示されない場合があります。

4.外部接続用オーディオ キャプチャ インターフェースについて
パソコンにステレオのオーディオ入力が無い場合はUSB接続のオーディオ キャプチャ インターフェースを使用します。手持ちの2機種とヤフオクで安く出品されていた中古のオーディオ キャプチャ インターフェースを試した結果を下に書いておきます。

4-1. アイ・オー・データ機器、AD-USB
これはオーディオの入力だけではなく、ライン出力もついています。私は5年ほど前に買った旧機種AD-USBを所有していますが、特に問題なく使用できています。使用した中ではベストです。ただし、現行のAD-USB2はテストしていません。新品は5000円くらいするので、当アナライザ専用にはもったいない気がします。

4-2. プリンストンテクノロジー、音楽版デジ造PCA-ACU
こんなやつ
dejizo.jpg

これも使用できます。この機種にはDCオフセットがあり、入力された交流(オーディオ)に対し、変換されたデジタルデータに(本来は無いハズの)直流信号が付加されます。当然測定に問題が生じますのでホーム AC パワー アナライザではソフトウエアでDCオフセットを補正できるようにしました。解決できない問題点として、DCオフセットを補正した後も多少DCオフセットが変化することがあります(スイッチを入れた後しばらくはもちろん、以降も温度の変化で?)。ただし、一桁や二桁の前半くらいのオフセットは通常の電力の測定結果にはほとんど影響しませんので、実用範囲内です。ただ、何も接続していない時にゼロにならず、小さな値が表示されることが難点です。また、この機種は入力レベルを完全にゼロに絞れないようになっているようですが、ゼロでちょうど良い入力レベルになります。価格が安いので、新規に購入する場合にはこれをお勧めします。

4-3. Sound Blaster Easy Record、型番:SB-EZREC モデル番号:SB1260
これも5年ほど前に購入したものです。オーディオの入力だけではなく、ライン出力もついています。現行(2018年12月現在)でも同じ商品名/型番/モデル番号で販売されていますが、中身は同じかどうかわかりません。この機種にも音楽版デジ蔵と同じようなDCオフセットがありますが、それ以外の大きな問題はなく使用可能です。

4-4. サンワダイレクトUSBオーディオキャプチャケーブル、400-MEDI017
この機種は実用的には使えませんでした。低域のカットオフ周波数が70〜80Hzと高く、サイン波は50Hzでも再現できますが、電子機器に流れ込む電流は複雑で、波形は大きく歪み、広い周波数成分を含みます。上で説明した他の機種はすべて低域のカットオフが10Hz以下で、十分とは言えませんが使用可能です。この機種だけが低域のカットオフ周波数が高いです。なぜ低域が重要かというと、電子機器に流れ込む電流の1サイクルの中に電流の変化が小さい、グラフではほとんど水平に見える部分が存在することがあります。その部分は50〜60Hzよりずっと低い周波数(水平なら直流)成分になります。一方で電流が急激に上昇する部分では高い周波数成分です。したがい、ゲインが低い50〜60Hz で適正になるようにレベル調整されていると、電流が急激に上昇する部分では、電流は実際より大きく表示されます。結果として表示される波形は実際と大きく違うものになります。これは電力の測定にも影響するハズですが、どれくらい影響するかの推定は簡単ではなさそうです。

4-5. その他のオーディオ キャプチャ インターフェース
アマゾン等で無名ブランドのものが販売されていますが、価格が国内ブランドと同じくらいで、リスクを冒す価値はないので確認していません。AliExpressなどでEzCAP216Cという機種が販売されていますが、これは避けた方がよさそうです。上に書いたサンワダイレクトはこれのOEMのようで、基板にこの型番が書いてあります。
その他、USBオーディオ キャプチャ インターフェースを購入する場合、あまり安いものはモノラルマイク入力しかないのがあるので注意してください。
USBビデオキャプチャのインターフェースはステレオのオーディオ入力があっても使用できません。ビデオキャプチャの方が高度なICを使用しているはずですが、こちらの方が安く売っています。需要の関係でしょう。

次は「その4:ダミーインターフェースを使用して試してみる」です。

2019年01月15日

ホーム AC パワー アナライザ ⇒ 家庭の電気消費を見える化する

その4:ダミーインターフェースを使用して試してみる

1.ダミーインターフェース
インターフェースを製作する前にソフトウエアを試したい人は別のパソコンかスマートフォンを使用したダミーインターフェースを用意します。必要なものは、
1-1. パソコン(Win2000、XPのパソコンでもOKです。ステレオオーディオのライン出力があること)、またはスマートフォン
1-2. オーディオケーブル(両端がオスの3極ジャックのケーブル)
1-3. ソフトウエア:2チャンネルのオーディオテスト信号を作るソフトで、左右独立にレベルを設定できること、左右の波形の位相を変えられることが強く望ましいです。
- パソコンの場合のお勧めは「WaveGene」です(efuさんのWebページからダウンロードできます。http://efu.jp.net/index.html)。パソコンによっては実行時に「Microsoft Visual C++ Redistributableが無い」と怒られるかもしれません。その場合はマイクロソフトのサイトから探してインストールしてください。
- アンドロイドスマホの場合はKEUWLSOFT社の「Function Generator」が使用できます(他にもあるかも)。少し問題あるのは、設定した位相がほんの少し(1度以下)ズレます。ソフトのせいか、私のスマホのせいか?
私はアンドロイドを使用しているので、iPhoneは使用できるソフトがあるかわかりません。誰か教えてください。
インストールしたら周波数を1kHzくらいに設定して、左右のスピーカーからピーと音が出ることを確認してください。50〜60Hzの低い周波数ではパソコンやスマホの内蔵スピーカーからはほとんど音はでません。基本の使い方は使用するソフトの取説を参照してください。

こんな感じ、右のパソコンは小型横長画面のバイオ PCG-C1FX、2000年製(18年前)です。Windows2000でWaveGene (旧バージョンの V1.40)を走らせています(オーディオ出力がおかしいので、USB接続のライン出力を付けています)。別のページで紹介している、表面がささくれ立った液晶パネルの偏光板を張り替えたやつです。
DummyPCGVaio.jpg

WaveGeneの場合は次のように設定します。レベルと位相を変更することができるチャンネルを電流(右チャンネル)にします。





- Wave1の設定
波形:サイン波
周波数: 50Hzまたは60Hz
レベル:0db
変調:0%
出力チャンネル:R(右側、電流)
位相:0°

- Wave2の設定
波形:サイン波
周波数: 50Hzまたは60Hz
レベル:0db
変調:0%
出力チャンネル:L(左側、電圧)
Wave2には位相の設定はありません。

2.ソフトウエアのインストール
特別なインストールはしません。ソフトをダウンロードし、適切なフォルダの下に解凍してください。私はインストールを要しないソフトウエア(WaveGeneも同じ)はCドライブにOtherProgramsのフォルダを作ってその下に置いています。実行ファイルAC_Power_Analyser.exe へのショートカットをディスクトップに置いておくとよいでしょう。

3. ソフトウエアの設定とインターフェースの校正手順
少なくとも30分くらい前にパソコンを立ち上げてください。外部のUSBオーディオ キャプチャ インターフェースを使用する場合は接続しておきます。パソコンの起動直後とウォームアップの後では測定値が少し変化する場合があります。ただし、これは世の中のほとんどすべての測定器にも言えることです。
3-1. ダミーインターフェース(パソコンかスマホ)のソフトを起動して上のように設定し、PLAYボタンを押してオーディオを出力します。ボリュームを調整して、出力を80%程度にします。ライン出力(イヤホン出力)にオーディオケーブルを接続してマルチメータの交流電圧レンジで測ると数百mVの出力があるはずです。
ホーム AC パワー アナライザを使用するパソコンのライン入力またはマイク入力とオーディオケーブルで接続します。パソコンによってはケーブルを接続しておかないとライン入力を認識しないものがあるので、ホーム AC パワー アナライザのソフトを立ち上げる前に接続しておきます。
3-2. ホーム AC パワー アナライザのソフトウエアを起動します。
画面右上のインターフェースを選択するコンボボックス(「EXIT」ボタンの左側)でインターフェースを登録したい番号を選びます(デフォルト名はINTERFACE_1〜10)。その下の「キャリブレーションと設定」ボタンをクリックし、設定の小窓を開きます。開いたら、メイン窓のデータ表示エリアが見えるように位置を変えてください。
3-3. 設定の小窓のデフォルトは表示が英語なので、必要に応じて中央下側にあるLocaliseにチェックを入れると日本語に変わります。メイン窓の言語は設定の小窓を閉じたときに変わります。
3-4. 「サウンドインターフェース設定」を開きます。ボタンがグレーアウトしている場合は左上の「パラメーターロック」にチェックが入っていないか確認してください。Windows OSのサウンド設定の小窓が開き、録音のタブが選択されているハズです。
2-5. 使用する入力デバイスを選択し、「規定値に設定」をクリックします(すでに選択されているかも)。
他の入力デバイスが規定値に設定されていて、使用するデバイスを変更した場合は、全部の窓を閉じ、ソフトウエアを「EXIT」で一旦終了し、再起動後に2-2.に戻って同じ手順でサウンド設定を開きます。
最初から使用する入力デバイスが規定値に設定されている場合はそのまま次の手順へ進みます。当ソフトウエアは立ち上がり時の規定値の入力デバイスを使用します。
3-6. 規定の入力デバイスを選択し、右下の「プロパティ」をクリックすると、「マイク(ライン入力などかも)のプロパティ」窓が開きます。全部のタブを開いて、すべてのサウンド効果をオフにし、ゲインの自動調整などはチェックを外しておきます。マイクブーストが表示されていれば0.0dBにします。詳細タブの「規定の形式」はアプリ側で決めるのでどのような設定でも構いません。
3-7. 「レベル」のタブをクリックします。設定の小窓に表示されている「ハードウエア設定」の「入力ピーク値」(右:電流、左:電圧とも。これがADコンバータの入力になります)が10%〜40%程度になるようにレベルを調整します。マイク入力は感度が高いので低いレベル設定になり、ライン入力は高いレベル設定になるでしょう。ここでは細かく設定する必要はありません。大雑把に10とか20とか覚えやすいレベルに合わせます(音楽版デジ造PCA-ACUではゼロにするとちょうどよくなります)。「OK」でサウンドインターフェース設定を閉じ、設定の小窓に戻ります。
3-8. サンプリングレートを設定します。これはオーディオインターフェースが1秒間にサンプリングする回数です。USB接続のオーディオインターフェースでは48kHzまでしかサポートしていないですが、内部処理で仮想的に192kHzで処理をするので、使用中に特に問題が発生しなければ通常192kHzにしておいてください。1秒間に10回のデータ処理を行い、50Hzで位相角の分解能を0.1度にするには最低で1秒間に180,000回のサンプリングが必要ですので、当ソフトウエアでは192kHzのサンプリングレートを使用します。60Hz地域では216kHz以上のサンプリングレートが必要ですので、192kHzでは分解能が0.1〜0.2度になります。
3-9. DCオフセットは使用するオーディオ入力インターフェースにより違います(同じ製品でも違います)。DCオフセットの補正は必ず、電圧、電流、センサー位相オフセットを校正する前に行ってください。他の項目の校正に影響します。画面のDCオフセットの左と右の下の数字が1桁の数字でちらちらと変化しているのは問題ありませんので、補正は不要です。2桁以上ある場合はDCオフセットの補正が必要です。(ちなみに、本物のインターフェースを使用した実際の測定時に、右(電流)のオフセットが1〜3桁くらいの数字で大きく変化する場合がありますが、それは接続している機器に流れるプラス側とマイナス側の電流が違うからで、実態を表しており、ホーム AC パワー アナライザは正常です。これで補正してはいけません。)
DCオフセットの下の「Read」ボタンを押します。テキストボックスにDCオフセット値が逆符号で読み込まれます。その下の「DCオフセット補正」にチェックを入れると、左右のDCオフセットがほぼ0になるはずです。数値が大きい場合はタイミングが悪かったのかもしれません。「DCオフセット補正」のチェックを外して「Read」を再度押してください。
3-10. 電圧の校正をします。キーボードから「現在の電圧」に100を入力して、[Enter]を押してください。ソフトウエアに現在のLチャンネルに入力されている電圧が100V相当と教えます。メイン窓の電圧表示が100.0Vになります。
3-11. 電流の校正をします。キーボードから「現在の電流」に1を入力して、[Enter]を押してください。現在のRチャンネルに入力されている電圧が1A相当と教えます。メイン窓の電流表示が1000mA (または1.000A)になります。
3-12. 「センサー位相オフセット」を校正します。ダミーインターフェースでは左右の位相ずれはほとんどゼロかもしれませんが、使用するパソコン(スマホ)やオーディオインターフェースによっては左右の位相が合っていないかもしれません。本物のインターフェースでは数度程度の位相ずれがあります。位相のずれはメイン窓の「位相角」に表示されています。ゼロでない場合は右の「Read」ボタンを押すと逆符号の値が読み込まれ、位相が補正されて、「位相角」がほぼゼロになります。
電圧校正値、電流校正値、位相オフセット校正値はインターフェース毎に違うので、本物のインターフェースを使用する場合はインターフェース毎の再校正が必要です。
3-13. 「アナログメータ最大値」と「最小値」はメイン窓のアナログパワーメータの目盛の最大値と最小値を決めます。最大値に1000と入力すると最大値は1000Wになり、1kと入力すると最大値は1kWになります。同時にデジタル表示の単位も変わります。
3-14. 「スムージング」は急な測定値の変化を滑らかにし、デジタル表示のちらつきやアナログの針の振れを軽減します。5か10が適当です。ソフトウエアは1秒間に10回のデータ処理を行いますが、数値は例えばスムージングが10の場合は過去9回のデータに現在のデータを加えて過去1秒間の平均値を表示します。
3-15. 上方にある「インターフェース名」は任意に変えることができます。例えば、「ダミーインターフェースNo.1」と入力しておきましょう。次回からはこの名前でメインの窓からインターフェースを選択することになります。設定値はこの名前で保存されます。最大10のインターフェースを登録できます。
3-16. 一番下の「サウンドインターフェース情報」は単なるメモ書きです。校正時に使用したサウンドインターフェースの名前やパソコンのレベル設定を書いておきます。
3-17. 一番上の「パラメーターロック」はせっかく校正したパラメータを不用意に変えてしまわないようにロックします。アナログメータの最大値、最小値、スムージング、サンプルレートは校正が不要なので、ロックしません。
3-18. 設定画面のその他の項目(表示のみ)
- 入力ピーク値:オーディオインターフェースのADコンバータの入力です。レベルの設定にもよりますが、100%に達する前に、アナログの入力回路が飽和するようです。レベルを高くするとアナログの飽和とADコンバータ―の入力100%を一致させることはできますが、ノイズが多くなり何も接続していなくても数mAの表示になります。
- サウンドインターフェース再起動:ACラインには多くのノイズが乗っており、サウンドインターフェースが異常停止する場合があります。ソフトのワッチドッグ(番犬)で停止を検出したら、自動でリセットをかけ、再起動して、回数を表示します。個別機器用のインターフェース使用時はめったにありませんが、配電盤のインターフェースは1〜数日に一回程度再起動するようです。ソフトの実行ファイルが入っているフォルダのSoundIFError.Logに再起動した日時が記録されます。
- 最長ループ時間:100m秒ごとに一回の処理を行うので、一回の処理がこれより遅いと正常に働きません。我が家のマシンで一番遅いWindowsタブレット(Lenovo Miix28、Atom 1.33Ghz)でも大丈夫なようです。
3-19. 設定が終わったらCLOSEボタンを押して閉じますが、開いたままでも測定はできますので、とこか邪魔にならないところへ動かしてもOKです。

4. データ表示エリアの詳細説明
4-1. 有効電力:負荷が消費している実際の電力です。アナログとデジタルで表示します。
4-2. 電圧(RMS):交流電圧の実効値です。サンプリングデータの二乗平均平方根(RMS)で算出しています。
4-3. 電流(RMS):交流電流の実効値です。サンプリングデータの二乗平均平方根(RMS)で算出しています。
4-4. 皮相電力:電圧x電流の値で、単位はVAになります。電圧と電流の波形に位相ずれが無い場合は、有効電力と同じになります。
4-5. 位相角:電圧と電流の波形の位相差です。電流の位相が電圧より進んでいる場合はプラスで、遅れている場合はマイナスで表示します。
4-6. 力率:有効電力と皮相電力の比です。教科書には「力率=皮相電力xCOSθ(θ=位相角)」と書いてありますが、これは電圧と電流がサイン波の時だけ成り立ちます。実際の電圧と電流の波形、特に電流はサイン波とは大きく違うので、ホーム AC パワー アナライザでは電圧と電流のサンプリングデータを掛け算して有効電力を求めています。
4-7. クレストファクタ:電流波形のピーク値と実効値の比です。サイン波では√2=1.414になります。白熱電球ではほぼサイン波ですが、多くの電子機器では2.5〜4程度で、パルスのような波形になります。最近の冷蔵庫やエアコンのモーターも電子制御ですので、やはりクレストファクタが大きいです。
4-8. 周波数:説明不要と思います。ホーム AC パワー アナライザでは40Hz〜500Hzで一応正常に働くことを確認しています。
4-9. 積算電力:有効電力x時間で、単位はWh (kWh)です。電力会社から請求される金額はこの値に単価(28円/kWhくらい、段階料金や電力会社によって違います)を掛けます。開始、経過時間、停止時間で積算した時間を知ることができます。

5. 波形表示エリア
電圧(緑)、電流(青)、電力(赤)の波形を表示します。表示はオシロスコープに似ていますが、垂直軸の高さはそれぞれの大きさを表しません。常に電圧、電流、電力の波形の前半180度のピーク値をそれぞれ0.9、0.8、0.7の高さで表示します。したがい、プラス側とマイナス側で電流が違う負荷の場合は、波形の後半では0.9、0.8、0.7にはならないし、動的に変化する負荷もあり、その場合は波形の後半は踊ります。
水平軸は周波数にかかわらず、1サイクルを360度で表し、前後の45度も表示します。

6. 有効電力推移表示エリア
過去1分(1秒毎)、過去60分(1分毎)、過去1日(1時間毎)の電力の推移をグラフ表示します。たとえば、過去60分の表示では1分間の平均値を1分毎にプロットします。値は前回の表示から現在までを100mS毎に算出した値の平均値です。

7. ログ設定エリア
さらに長期に観測したい場合、およびエクセルなどにデータを取り込みたい場合はテキストファイルに1秒毎、1分毎、1時間毎に記録します。ファイルはテキストエディタでいつでも開くことができます。ただし、内容を変更して同じ名前で保存すると、開いていた間にホーム AC パワー アナライザが追加書き込みしたデータは上書きで消されてしまうので注意してください。
ログはテキストファイルですが、項目をコンマで区切っているので、拡張子をLOGからCSVに変えて保存すると、エクセルで読み込むことができます。

8. 試してみる
後は、ダミーインターフェースで遊んで(勉強して)みましょう。ダミーインターフェース(右チャンネル、電流)の出力電圧と位相をいろいろと変えてみてください。交流の基礎を勉強している人には役に立つと思います。
波形表示の赤い波形が電力です。電圧と電流の位相が同じ場合はプラスxプラス=プラス、マイナスxマイナス=プラスですが、位相がずれるとプラスxマイナス=マイナスの部分が発生し、電力がマイナスになります。つまり負荷がいったん受け取った電力を電力会社へ返品しているわけです。消費者都合での返品ですが電流はしっかり流れているので、送電線や配電線で発生するロスはすべて電力会社の負担になります。ちなみに、高周波の世界ではこれを「反射」と呼んでいます。
電力の波形は位相が合っているときは、正弦波の下限がゼロ、つまり常時プラスですが、位相をずらすと正弦波の下側がだんだんとマイナス側へ沈んで行き、90度でちょうど真ん中になり、電力会社からの納品と返品が同じになります。コンデンサやコイルで生じる負荷のキャパシタンスやインダクタンスでの位相のずれは最大で±90度です。仮に90度以上ずれると、合計の消費電力がマイナスになり、発電所になりますが、残念ながら、これは起こり得えません。
なお、WaveGeneは周波数や位相はプルダウンメニューから切りの良い値を設定できますが、直接キーボードから任意の値を入力することもできます。位相はマイナスの数値も入力できます(マイナス=遅れ)。

次は実際にインターフェースを製作して現実を見てみましょう。

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その5:インターフェースの製作(個別機器用)と校正

回路図と写真はここです。
Interface 1A-10A2.pdf

1. 注意点
1-1. カーレントトランス(CT)の穴を通る電線の巻き数は10A側が1回、1A側は10回となります。CTの巻き数は穴を通る回数を数えます。つまり、巻き数1回は穴を通過するだけで、実際は「巻き」ません。
カーレントトランスはコアを通過する電流の大きさに比例して二次側に電圧を発生しますが、一次側の電線をコアに複数回巻くと、電線を流れる電流が回数分加算されることになり、二次側の電圧は巻き数に比例して大きくなります。
1-2. CT(CTL-6-S32-8FCL)と220V入力の小型のトランス(Toyozumi 2H-605)は普通の部品やさんには売っていないかもしれませんが、通販ではマルツやモノタロウ、その他でも買えます。
(最新バージョンではCTを中国製のZMCT118Fに変更しました。国内の通販ではアマゾンで買えます(2週間後に中国から航空郵便で送ってきますが…)。その7を参照してください。)
1-3. 電圧を落とすトランスは100Vを入力ますが、一次側が220Vのトランスを使用しています。これは、220Vトランスの方が電圧波形の再現性が良好なためです。
1-4. 使用する抵抗はなるべく金属皮膜抵抗を使用してください。普通のカーボン抵抗では温度で抵抗値が変化し、測定値に影響する可能性があります。間違っても可変抵抗器を使用しないこと。
1-5. トランスの極性はわかりにくいです。配線図どおりに作っても逆に接続されている可能性があります。電圧と電流の山が逆になる場合(電力がマイナスに表示されます)はトランスの配線の極性を入れ替えるか、CTを逆に取り付けてください。

2. 校正(調整)
「その4:ダミーインターフェースを使用して試してみる」も参考にしてください。
校正に必要なものは、
- 最大2〜10A程度の交流電流を測定できるデジタル マルチメーター、またはクランプメーターで最小分解能が1mA以下のもの。
- 電流を安全に測定するためのワイヤーハーネス(100円ショップなどで売っている短い延長ケーブルを改造します。マルチメーターを使用する場合は配線の片側を切断し、マルチメーターの電流測定端子に接続できるようにします。クランプメーターなら2本の配線を割いて、片方をクランプメーターのプローブを入れるようにするだけです)
電流測定.jpg クランプメータ.jpg
左の写真のハーネスは電圧と電流を同時に測れるように作ったものですが、電流だけ計ることができれば十分と思います。
右の写真のクランプメーターは安物で、最小分解能が0.01Aなので使い物になりません。写真撮影用です。mAの単位で測れるものを使用してください。
- 100Wの白熱電球(実質90W程度みたいです。ホームセンターなどでソケットを買い、プラグを付けておいてください)。白熱電球は非常に熱くなるので、机の上などに置かず、延長コードなどを使用し吊るすようにしてください。

校正をする場合は少なくとも30分くらい前にパソコンを立ち上げ、外部のUSBオーディオキャプチャケーブルを使用する場合は接続しておきます。パソコンの起動直後とウォームアップの後では測定値が少し変化する場合があります。これは世の中のほとんどすべての測定器にも言えることです。

1. 校正手順
1-1. インターフェースの電源ケーブルをコンセントに接続し、AC100Vを入力します。煙が出ないことを確認します。インターフェースの1A-10Aの切り替えは最初は1Aにしておきます。
1-2. 100W程度の白熱電球をインターフェースのコンセントに差し込みます。インターフェースにオーディオケーブルを接続し、マルチメータの交流電圧レンジで左右の出力が数百mVあることを確認します。確認したら白熱電球は取り外します(熱いのでとりあえず)。
1-3. インターフェースの出力をパソコンのライン入力またはマイク入力とオーディオケーブルで接続します。ホームACパワー アナライザのソフトウエアを起動します。
1-4. 画面右上のインターフェースを選択するコンボボックス(「EXIT」ボタンの左側)でインターフェースを登録したい番号を選びます(デフォルト名はINTERFACE_1〜10)。その下の「キャリブレーションと設定」ボタンをクリックし、設定の小窓を開きます。開いたら、メイン窓のデータ表示エリアが見えるように位置を変えてください。
1-5. 設定の小窓のデフォルトは表示が英語なので、必要に応じて中央下側にあるLocaliseにチェックを入れると日本語に変わります。メイン窓の言語は設定の小窓を閉じたときに変わります。
1-6. 「サウンドインターフェース設定」を開きます。ボタンがグレーアウトしている場合は左上の「パラメーターロック」にチェックが入っていないか確認してください。Windows OSのサウンド設定の小窓が開き、録音のタブが選択されているハズです。
1-7. 使用する入力デバイスを選択し、「規定値に設定」をクリックします(すでに選択されているかも)。
他の入力デバイスが規定値に設定されていて、使用するデバイスを変更した場合は、全部の窓を閉じ、ソフトウエアを「EXIT」で一旦終了し、再起動後に1-3.に戻って同じ手順でサウンド設定を開きます。
最初から使用する入力デバイスが規定値に設定されている場合はそのまま次の手順へ進みます。当ソフトウエアは立ち上がり時の規定値の入力デバイスを使用します。
1-8. 規定の入力デバイスを選択し、右下の「プロパティ」をクリックすると、「マイク(ライン入力などかも)のプロパティ」窓が開きます。全部のタブを開いて、すべてのサウンド効果をオフにし、ゲインの自動調整などはチェックを外しておきます。マイクブーストが表示されていれば0.0dBにします。詳細タブの「規定の形式」はアプリ側で決めるのでどのような設定でも構いません。
1-9. 「レベル」のタブをクリックします。設定の小窓に表示されている「ハードウエア設定」の「入力ピーク値(左:電圧)」が20%〜30%程度になるようにレベルを調整します。マイク入力は感度が高いので低いレベル設定になり、ライン入力は高いレベル設定になるでしょう。ここでは細かく設定する必要はありません。大雑把に10とか20とか覚えやすいレベルに合わせます(音楽版デジ造PCA-ACUではゼロにするとちょうどよくなります)。「OK」でサウンドインターフェース設定を閉じ、設定の小窓に戻ります。
1-10. サンプリングレートを設定します。これはオーディオインターフェースが1秒間にサンプリングする回数です。USB接続のオーディオインターフェースでは48kHzまでしかサポートしていないですが、内部処理で仮想的に192kHzで処理をするので、使用中に特に問題が発生しなければ通常192kHzにしておいてください。1秒間に10回のデータ処理を行い、50Hzで位相角の分解能を0.1度にするには最低で1秒間に180,000回のサンプリングが必要ですので、当ソフトウエアでは192kHzのサンプリングレートを使用します。60Hz地域では216kHz以上のサンプリングレートが必要ですので、192kHzでは分解能が0.1〜0.2度になります。
1-11. DCオフセットは使用するオーディオ入力インターフェースにより違います(同じ製品でも違います)。DCオフセットの補正は必ず、電圧、電流、センサー位相オフセットを校正する前に行ってください。他の項目の校正に影響します。
白熱電球を再度接続してください。画面のDCオフセットの左と右の下の数字が1桁の数字でちらちらと変化しているのは問題ありませんので、補正は不要です。2桁以上ある場合はDCオフセットの補正が必要です。(ちなみに、実際に電子機器を測定すると、右(電流)のオフセットが1〜3桁くらいの数字で大きく変化する場合がありますが、それは接続している機器に流れるプラス側とマイナス側の電流が違うからで、実態を表しており、ホーム AC パワー アナライザは正常です。これで補正してはいけません。)
DCオフセットの下の「Read」ボタンを押します。テキストボックスにDCオフセット値が逆符号で読み込まれます。その下の「DCオフセット補正」にチェックを入れると、左右のDCオフセットがほぼ0になるはずです。数値が大きい場合はタイミングが悪かったのかもしれません。「DCオフセット補正」のチェックを外して「Read」を再度押してください。
1-12. 電圧の校正をします。マルチメーターでコンセントの電圧を測り、「現在の電圧」に測定した電圧を入力して[Enter]を押します。メイン窓の電圧表示がここで入力した「現在の電圧」と同じになります。なお、電圧は見ているうちに1Vくらいはふらふらと変化しますので、しばらくマルチメーターで電圧を観察し、中間くらいの数値を予想で入力しておき、その電圧になったら[Enter]を押すと良いでしょう。タイミングが外れたら、そのまま再度[Enter]を押せば同じ値が入力されます。
1-13. 電流の校正をします。マルチメーターかクランプメーターで白熱電球に流れる電流を測り、「現在の電流」にアンペアの単位で入力して[Enter]を押します(例えば、850mAであれば0.85と入力)。メイン窓の電流表示が入力した「現在の電流」と同じになります。なお、ACラインの電圧が変化するので、電流も見ているうちに数十mAくらいはふらふらと変化しますので、しばらくマルチメーターかクランプメーターで観察し、中間くらいの数値を予想で入力しておき、その電流になったら[Enter]を押すと良いでしょう。タイミングが外れたら、そのまま再度[Enter]を押せば同じ値が入力されます。
1-14. 「センサー位相オフセット」を補正します。白熱電球のように電流の位相が変化しない負荷でも、電圧と電流は違う経路を経由して入力されるので、位相がずれています。私が製作したインターフェースでは6〜10度くらいの位相ずれがあります。位相のずれはメイン窓の「位相角」に表示されています。「センサー位相オフセット」の右の「Read」を押すと逆符号の値が読み込まれ、位相が補正されて、「位相角」がほぼゼロになります。
電圧校正値、電流校正値、位相オフセット校正値はインターフェース毎に違うので、インターフェース毎の再校正が必要です。電圧以外は同じインターフェースでも、1Aと10Aレンジでは異なります。
1-15. 「アナログメータ最大値」と「最小値」はメイン窓のアナログパワーメータの目盛の最大値と最小値を決めます。最大値に1000と入力すると最大値は1000Wになり、1kと入力すると最大値は1kWになります。同時にデジタル表示の単位も変わります。
1-16. 「スムージング」は急な測定値の変化を滑らかにし、デジタル表示のちらつきやアナログの針の振れを軽減します。5か10が適当です。ソフトウエアは一秒間に10回のデータ処理を行いますが、数値は例えばスムージングが10の場合は過去9回のデータに現在のデータを加えて過去1秒間の平均値を表示します。
1-17. 上方にある「インターフェース名」は任意に変えることができます。例えば、「インターフェースNo.1 1A」と入力しておきましょう。次回からはこの名前でメインの窓からインターフェースを選択することになります。設定値はこの名前で保存されます。最大10のインターフェースを登録できます。
1-18. 一番下の「サウンドインターフェース情報」は単なるメモ書きです。校正に使用したサウンドインターフェースの名前やパソコンのレベル設定を書いておきます。
1-18. 一番上の「パラメーターロック」はせっかく校正したパラメータを不用意に変えてしまわないようにロックします。
1-19. CLOSEボタンを押して設定の小窓を閉じます。
1-20. 次に10Aレンジを校正します。別のインターフェース番号を選択して設定の小窓を開きます。インターフェースのレンジのスイッチを10Aに切り替えて、1Aレンジと同じように校正します。100W白熱電球で1Aレンジと10Aレンジ共に校正できます。私の例では、10Aレンジを100Wの白熱電球で校正しても、10A程度の電流で誤差は1%以下です。

2. 指定以外のカーレントトランス(CT)やトランスを使用する場合の注意
CTは用途に応じて適切なものを選びます。出力される電圧はそれぞれ違うので、出力抵抗を適切に設定しなければなりません。基本的には変流比(巻数比)が800〜1000のCTであれば出力抵抗は47〜51ΩくらいでOKです。
それ以外のCTや出力抵抗を使用する場合は次の点を考慮します。パソコンやオーディオ キャプチャ インターフェースによって違いはありますが、私の手持ちのパソコンを調べたところ、概ねオーディオのライン入力は実効値で1.6V(ピーク値で2.25V)くらいで飽和するようです。これはWindows OSのオーディオ入力のレベル設定とは関係なく、アンプの入力回路で決まります。この時にADコンバータの入力ピーク値が100%になるようにレベル設定をするとADコンバータの分解能(16ビット)を有効に使う上では理想ですが、このレベルに設定するとノイズが多くなり何も接続しない時に数mAの表示になることがあります。これを避けるためにオーディオ入力のレベル設定は20以下が適当です(パソコンやオーディオ キャプチャ インターフェースによって違いがあります)。入力が1.6Vくらい(つまりアナログが飽和し始める)の時にADコンバータの入力ピーク値が50〜60%くらいにするのがバランスが取れているようです。ADコンバーター入力の50%までしか使わないと資源の半分も捨てて損しているように感じますが、ADコンバータの16ビットの分解能を15ビットで使用するだけです。これでもまだまだ十分に余裕があり、測定値には影響しません。
もう一つ注意するのはクレストファクタ(交流電流のピーク値を実効値で割ったもの)です。サイン波のクレストファクタは1.414ですが、小型の電子機器では角のような電流波形になり、クレストファクタ4くらいになる場合があります。余裕を見て5まで対応すると、電流の実効値が同じでも、ピーク値はサイン波の3.6倍になります。つまり、アナログがひずみ始めるときのADコンバータ入力が50%とすると、測定しようとする最大電流のサイン波を入れた時に(1Aレンジでの校正時がこれに近い状態)ADコンバータの入力ピーク値は14% 以下でなければなりません。あまり小さくすると、小さい電流の測定に不利になります。これを念頭にインターフェースの出力電圧レベルを決め、CTの選定と出力抵抗値を決定します。
総合的に考えると、CTの出力抵抗の選定は、測定しようとする最大の電流の時に、出力電圧が400mV程度になるようにするとよいでしょう。
ACのライン電圧を測るトランスの選定は楽です。ACライン電圧は大きく変化せず、波形はサイン波に近いので、ADコンバータの入力ピーク値が5〜50%くらいに入っていれば問題ありません。AC100V入力時に、出力電圧が500mV程度になるようにトランスの二次電圧と降圧用の抵抗を選んでください。
レベルの設定は電流の測定に都合が良いところに合わせれば良く、左右(電圧/電流)を違うレベル設定にする必要はありません。
消費電力の測定だけに興味がある方は普通の100V入力のトランスを使用しても問題ありませんが、電圧の波形がひずみます。二次側に流れる電流は1mA以下なので、小さなトランスでも良さそうですが、大きなコアのトランスの方が波形の再現性が良いです(電流だけ考えると無駄に大きくて重たいけど)。

次は、家庭の全体の消費電力用のインターフェースです。

2019年01月16日

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その6:インターフェースの製作(家庭の全体の消費電力用)と校正

回路図と写真はここです。
Interface distribution board.pdf

1. しくみ
家庭に供給されている100Vの電力はL1とL2(L: Live)の2系統で供給され、交流電流はL1とN(N:Neutral)の間を交互に、L2とNの間を交互に流れます(単相3線式)。2系統は互いに位相が逆になっています(つまり、山と谷が逆になっている)。家庭の100V 機器はどちらか片方に接続されています。消費電力の大きな200V機器(大きめのエアコン、食洗器、IHヒーターなど)にはL1とL2の100Vずつを足し合わせて200Vを供給しています。電流はL1とL2の間を交互に流れます。
Interface distribution board principle.png

L1+L2.jpg

そうすると、家庭全体の消費電力を測るには、L1とL2の電流と100Vと200Vの電圧の情報を読み込まなくてはなりませんが、パソコンのオーディオ入力は2チャンネルしかありません。そこで、ちょっとした工夫(と少しの妥協)が必要になります。
上の説明図をご覧ください。100V 機器への電流はL1かL2のどちらか一方を通りますので、どちらかのCTにより検出されます。L1用とL2用のCTは直列に接続されているので、電流の強さを表すL1とL2からの信号は加算(つまり、CTの方向をそろえることが重要)されてパソコンへ入力され、電圧と掛け算されて電力を計算します。
一方、200V機器に流れる電流はL1とL2の両方で検出され、100V機器の電流の信号と一緒にパソコンへ送られます。もちろん、パソコン側では100V機器の電流か200V機器の電流かは区別できません。では、電力を計算するには100Vを掛けるのか、200Vを掛けるのか?じつは、L1とL2の両方で検出されるということは、実際に流れている電流の2倍の信号がパソコンへ送られる訳です。したがって、(V x 2) x Aと、V x (A x 2)の掛け算の答えは同じなので、100Vを掛け算してやれば200V機器の正しい電力が計算できます。「少しの妥協」とはホームACパワー アナライザに表示される200V機器の電流は実際の2倍で表示され、電圧は100Vと表示されることです。
回線図では電圧の信号をL2から取っていますが、実際は配電盤の近くに設置されているコンセントを利用しますので、L1になるかもしれません、その場合は電圧と電流の位相が逆になる(グラフの山が逆方向)ので、プラグを逆にさせばOKです。厳密に言えば、L1とL2の電圧は少し違うかもしれません。気になる人は200Vから取ればL1とL2の平均電圧になるのでより正確になりますが、200Vのコンセントが近くになければ配電盤から直接取ることになります。ただし、接続する機器の認証や電気工事士の資格が必要になるので、ここではお勧めしません(ちょっと危険な実験室の趣旨を外れますが…)。

2. 校正(調整)
校正の手順は「その4:ダミーインターフェースを使用して試してみる」と「その5:インターフェースの製作(個別機器用)と校正」を参考に行ってください。
違うところは
- 電圧の校正は個別機器用インターフェースと同じですが、電圧の信号を200Vから取る場合はマルチメーターの電圧の読みを半分に(100V)して校正してください。
- 電流の校正はCTを配電盤に取り付ける前に行います。個別機器用インターフェースと似たような手順で、100W電球を使用します。まず、CTを1個取り付け、大体の電流(1Aとか)を入力します。次に2個目を、CTに刻印されている矢印が同じ方向を向くように取り付け、電流が2倍になるのを確認します。電流がゼロになる場合は、CTの極性が逆に配線されています。2個分が加算されると電流は2倍に表示されるので、マルチメーターまたはクランプメーターの読みを半分にして校正します。

他は個別機器用インターフェースと同じです。

とりえず、当実験室が開発した「ホーム ACパワー アナライザ」の解説を終わりますが、今後も測定した結果はブログネタとして発表できれば良いと考えています。

2019年01月26日

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その7:インターフェース改良情報

さっそく改良情報(性能向上+コストダウン)です。
個別機器用のインターフェースに使用しているCT(カーレントトランス) CTL-6-S32-8FCL は当インターフェースでは用途的に必要が無いのにコアが分割式になっており、穴の大きさは配線を計11本通すにはギリギリの大きさです。価格も1300〜1500円くらいで、個別部品としては割と高めです。実は、CTの選定は今回の用途の場合、難しい要素があります。
規格としては変流比が800〜1000、1A以下での直線性が良く、穴の大きさが6〜10mm程度、小型、さらにネットで詳しい特性が入手でき、価格が手ごろで、通販などで購入できる必要があります。探した結果、U_RD社製のCTL-6-S32-8FCLを使用したわけです。
最近、アマゾンでウインドーショッピングしてたら、こんなもんが売ってました。
ZMCT118F.jpg

中国製ZMCT118F 直線範囲0-30A、価格¥195(配送料無料)。データシートもネットでダウンロードできます。当インターフェースにはぴったりの特性とサイズです。基板用なので、リード線の接続が必要ですが、それは大きな問題ではありません。データシートなど全く信用していませんが、ただ安いの理由で3個買ってみました。ちょうど2週間後に郵便受けに入っていました。
NewCT.jpg

さっそく気になる直線性をダメ元で調べてみました。CTの出力電圧は原理的に次の計算式で計算できます。
出力電圧=入力電流÷変流比(巻数比)X出力抵抗
なんと、少なくとも、5mA〜800mAの間で、少なくとも0.2%以下の誤差で計算式と合います。明らかにCTL-6-S32-8FCLよりずっと良いです(コアが分割型のせいか?)。大きい電流の直線性はわかりませんが、他のCTの特性例からあまり問題にならないと思います。ちなみに当実験室では、5mAの下限はマルチメータの性能により、800mAの上限は交流電源と負荷の性能により、0.2%以下はマルチメータの性能による限界で、これより詳しい調査ができません。
かなり良さそうなので、さっそく、インターフェースのCTをZMCT118Fに交換しました。結果は全く問題なしです。電流の位相ずれがずっと少なくなりました(それでも補正は必要なので、実質の違いなし)。
回路図と写真は「その5:インターフェースの製作(個別機器用)と校正」のページのリンクを更新しましたので、そちらからダウンロードお願いします。

なお、「家庭の全体の消費電力用」用のCTは変更ありません。

追記:マルツで820円+税で売っている CTL-6-P もスペック的には良さそうです。穴に11本の電線が通ればですが…。試してはいませんが、全体に被覆が薄い線を使うか、10Aレンジ用の電線を細く短くすればよいかも。
他に、1Aレンジの巻き数を8くらいにする手もあります。これでも十分に校正だけで行ける範囲です。1Aと10Aレンジを切り替えたとき値が10倍(1/10)にならないだけで、他に使用上の問題はありません。
CTL-6-S32-8FCLの穴は公称6mmで同じですが、半円+4角になっており、角の部分だけ穴の断面積が広く、1Aレンジ用の細い電線の巻き数を多くできます。

2019年02月05日

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その8:電圧の波形と使用トランス

その7でCT(カーレントトランス)の選択の条件を書きましたが、実は電圧の波形を見るためのトランスの選定も簡単ではありませんでした。それを紹介する前に、家庭に供給されている電圧の波形を見てみましょう(クリックすると拡大できます)。
Wave FG.jpg
Wave Supply.jpg









左はファンクションジェネレータから出力した理想的なサイン波(正弦波)です。右は家庭に供給されている交流です。ご覧のように頭がつぶれた形をしています。これは、供給されるサイン波の電圧に対し、電圧が高くなる部分で急に電流が大きくなる電子機器(クレストファクタが大きい、つまり電流の波形がとがったツノのような形をしている)の負荷の影響です。昔の交流モーターや白熱電流の時代には問題にならなかったことですが、今や洗濯機のモーターさえもインバーター制御で電子機器の一種です(クレストファクタをなるべく小さくする工夫がしてありますが、やはり電圧の波形とは大きく違います)。これは電力会社にとっては頭が痛い問題らしいです(供給される電力の品質が悪いと、機械の不調や故障につながる)。
さて、供給される交流の波形はとりあえず私にとってはどうでもよく、またどうしようもありません。私の問題は実際の電圧の波形をいかにそのまま忠実にPCの画面に表示するかです。AC100Vをパソコンのオーディオ入力に適した電圧(500mV程度)に落とすためのトランスが必要です。いったんAC100Vを3〜6Vくらいまで落として、さらに抵抗で500mVに落とします。抵抗で二次的に落とすのは、市販のトランスには500mVくらいまで落とせる適当な製品が無いからです。トランスの二次側の電流は数ミリアンペアしか流れないので、超小型のトランスで間に合うハズですが、これが最初のつまずきでした。
下の左側の写真は日本中どこでも容易に入手でき、最も安価(税抜100円)で市販されているトランス(当実験室調べ、中古やジャンク品を除く)で、二次電圧は無負荷で約4.6V、電流は135mA程度?小型軽量(重さ50g)でちょうどよいです。しかし、残念なことに二次側の波形はご覧のとおりです。これでは、見える化で恥ずかしい思いをします。これでもニッケル水素電池は文句を言わないのでしょう。
DAISO.jpg
Wave Daiso.jpg












そこで、きっとチープなトランスだからこうなるかと思い、素性がきちんとしているトランス(豊澄電機HP-510、重さ62g)を購入してみました。
http://www.toyozumi.co.jp/products/hp/pdfs/HP-510.pdf
結果は、ほんの少しだけましになりましたが、やっぱりダメです。
HP-510.jpg
Wave Toyoden 100V.jpg









次は素性不明の古いACアダプタに使用されていたトランスです。かなり良いです。これなら使えるでしょう。しかし、少し大き過ぎで(182g、40x35x30o)、形も悪く、小型のケースにはおさめにくいです。2台目を作ろうにも、人に紹介しようにも、入手が不安定です。似たようなACアダプタを入手しても、いちいち調べてみなければなりません。
AC Adapter.jpg
Wave AC adapter.jpg









ここで、またディープな世界に引きずりこまれました。調べたところ、波形のひずみの原因はトランスのコア(鉄心)のヒステリシスが原因のようです。つまり、トランスのコアの特性と励磁力です。ACアダプタに使用されている大きめのトランスが良かったのは、コアが大きいと同じ電流を流した場合でも、励磁力が相対的に小さいので、ヒステリシスが目立たないのでは?と考え、それなら小さ目のトランスでも、200V入力を100Vで使用すれば電流が少なく、励磁力が小さいのでは?と実験してみたのがこれです。
RSコンポーネントから115V+115V入力が可能なドイツ製のAVB1.5/2/6(重さ83g)を購入しました(現在はマルツの通販からでも購入可能のようです)。
https://docs-apac.rs-online.com/webdocs/127c/0900766b8127cc82.pdf
AVB.jpg



入力を115V接続と230V接続にして比較したのがこれです。小さいトランスなので写真左の115V接続はひずみが大きいですが、写真右の230V接続ならきれいに波形を再現できています。これなら、小型で使いやすいです。

Wave AVB 100V.jpg
Wave AVB 200V.jpg









さらに、国内で入手しやすい豊澄電機で一番小さい200V入力のトランス2H-605(重さ153g)も試してみました。コアが大きめなのもあり、このトランスも波形の再現は良いです。
http://www.toyozumi.co.jp/products/2h/pdfs/2H-605.pdf
2H-605.jpg
Wave Toyoden 200V.jpg









以上、インターフェースの回路図で指定しているトランス以外を使用したい人は参考にしてください。なお、トランスの出力電圧によって抵抗値を調整し、PCのライン入力を400〜500mV程度になるようにしてください。

ちなみに、実験中にヤフオクで日置電機製の商用電源の波形観測用のトランスを1000円で購入できましたので、これをベンチマークとして使用してみました。
HIOKI.jpg
Wave Hioki.jpg






2019年02月17日

ホーム AC パワー アナライザ ⇒ 家庭の電気消費を見える化する

その9:交流理論の基礎の見える化

ホーム AC パワー アナライザは「家庭の電気消費を見える化」がテーマですが、機能を利用して、「交流理論の基礎の見える化」としてちょっとした実験をして、YouTubeにアップロードしました。
https://youtu.be/RvSmkthdeP0

内容はこんな感じ、

● パソコンやスマホのソフトを利用したオーディオジェネレータを使用して、位相角と力率の関係を画面でお見せします
● コンデンサによる位相進み、コイルによる位相遅れを 画面でお見せします
● 電流の波形とクレストファクタと力率の関係を画面でお見せします

この動画の最後でお見せした、WaveGeneの任意波形発生機能を使用した、クレストファクタの大きい電流と電圧の波形のデーターはここからダウンロードできます。
Crest generator.zip

いつものように、ZIPファイルをダウンロードしようとすると、ブラウザから「一般的にダウンロードされているファイルではないので危害を与える可能性があます」と言われ、破棄を勧められることがあります。危害は与えませんので、安心して右側の「^」から「継続」をクリックしてください。