2019年04月23日

自作スポット溶接機、ハイパワーバージョン

カラオケ用アンプから取り外したトロイダルトランス使用

1. イントロ
前回はパチンコ台用のトロイダルトランス(350VA)を使用し、電池にタブを溶接する自作スポット溶接機を紹介しました。電池タブの溶接には十分のパワーがありましたが、もっとハイパワーのスポット溶接機を作ろうと思い、トランスを探しました。例により、電源トランスが使用されている廃品の電子レンジの入手は難しいです。そこで、今回は業務用カラオケマシンのパワーアンプの電源に使用されているトランスに目を付けました。Google先生に聞いてみると、BMB製DA-01には大きなトロイダルトランスが使用されていると教えてくれました。このアンプは業務で毎日長時間酷使されているせいか、時々不良品がヤフオクで1,000〜2,000円程度で売られています。正常品だと5,000円〜20,000円くらいです。そこで、不良品を2台購入してみると、どちらもドライバーICが焼け焦げています。パワーアンプとして復活させるには難しいでしょう。でも、目的のトランスは全く問題ありません。他にも有用な部品がたくさん回収できます。
1_DA01.JPG
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このトランスの詳細の規格はわかりませんが、RSコンポーネントで販売しているトロイダルトランスと比較すると、重さ、大きさから500VAくらいの容量が有ると思われます。これを2個使用して1kWを目指します。溶接機の場合、負荷は純粋な抵抗ですので、力率 ≒ 1で、ほぼVA = Wと考えてよいと思います。

3_Holesaw.jpg
4_CoreOfCore.jpg
問題は、トランスの固定用にコアの中心部にナットを配置するため樹脂が充填されているので、簡単には二次巻線を追加できないことです。そこで、一台目は写真のようにホールソーを使って樹脂に穴を空けました。樹脂の粉が飛び散り大変な思いをしました。2台目もホールソーで穴をあけ始めましたが、ふと思いつき、取り付け用のボルトを中心部のナットに途中までねじ込み、ハンマーでたたくと樹脂の塊が簡単に外れてくれました。なーんだァ、はやく教えてくれよ。

5_DoubleTrans.JPG

AC100Vを仮接続してマルチメーターのリード線を穴に一回通すと0.367Vあります。トランスを2個並べてリード線を通すと0.735Vです。これなら使えそうです。一次巻線の位相やトランスの方向を間違えると0Vになるはずです。


6_TransKit.JPG
7_Completed.jpg









さっそく、MDF木材を使用して枠を作成しました。二次巻線はアーク溶接用の22SQのキャブタイヤケーブルを4回巻にしています(コアの中心を通る回数なので外には3巻が見えている)。無負荷時の二次電圧は2.94Vです。

8_BlowUp.jpg
他のページで紹介している当実験室のホームACパワーアナライザで電力を測ってみると、通電時に約600W〜1.4kWになります。トランスの定格をオーバーしているかもしれませんが、二次巻線が熱くなるような使用をしても、トランスの温度はほとんど上がりません。短時間なので大丈夫だと思います。クリックして拡大。
一次側と二次側の電圧比が35あるので、二次電流は200〜500Aくらい流れている事になります。

9_handgear.jpg
10_Tip.jpg










実際にスポット溶接をするには電極で対象物を挟み込まなければなりません。20mm X 20mmの角材で作ってみました。ヒンジが安物でガタガタなので、電極がズレますが、溶接する時に手で合わせます。見にくいかもしれませんが、ヒンジのところにスポンジ状のゴムを張り付け、使わない時は電極が離れるようにしています。木なので焼けてしまうかなと思いましたが、これまで300回くらい使用してみましたが全く問題ありません。
溶接機の電極は60〜80W半田ゴテ用のコテ先の先端部をヤスリで直径1mmくらいに円状に平らに削って使用しています。22SQ用の圧着端子は工具が無いので、M5のタップ穴を開けて電線を差し込みネジで止めましたが、問題は無いようです。

Controller.jpg

電流と通電時間のコントロールは以前に作ったパチンコ台用のトロイダルトランス(350VA)を使用したものをそのまま使用します。ただし、トライアックは多少暖かくなるので、小型のヒートシンクを取り付けた方がよいでしょう。使用されているトライアックの定格は100Aです。



13_Megane.jpg
11_Welding.jpg


さて、スポット溶接の能力ですが…。その前に、必ず保護メガネ着用!!!(電力の測定をしている時の写真では保護メガネをしていませんが、私自身の経験を元に強くお勧めします;´д`)

- 0.3mm厚ステンレス板 ⇒ 電流を50%、時間を0.5秒くらいでも簡単に溶接できる。
- 1mm厚のステンレス板 ⇒ 電流を最大にして時間を長めにすれば強力に溶接可能。
ステンレスは電気抵抗、熱伝導、比熱などがスポット溶接に最適な材質のようです。

一般に入手容易なトタン板やクロメート処理をはじめとする各種の亜鉛メッキ鋼板はあらかじめサンドペーパーなどを使用して接合側の表面を露出させておくと溶接が簡単で、接合部分が強力になります。亜鉛メッキを取り除かない場合は溶接できても強く引っ張ると取れてしまいます。亜鉛が鉄に溶け込むのでしょうか?電極を当てる側も鋼板を露出させるとさらに良い結果が得られます。0.5mm厚くらいなら電流を最大にして、1秒くらいで強力に溶接できます。1mm厚くらいまでは電流最大で時間を長め(もしくは複数回)で溶接可能でした。ただし、ケーブルが熱くなるので、一度に何か所も溶接するのは無理。

- アルミ板 ⇒ 0.5mm厚でも表面に軽く溶跡が付くだけで、全く歯が立たず。電気抵抗が低いのでジュール熱の発生が少ないのと、熱伝導が良いので、熱がすぐに逃げてしまう。桁違いの電流が必要らしい…。

12_Totan.jpg
溶接のコツとしては、始めは電極を軽く当てておき(接触抵抗が大きくなるので、ジュール熱が多く発生する。板と板の間に隙間が有っても良い。)、溶けだしたら(温度が上がると電気抵抗が大きくなる)強く押さえると良いようです。使用しているコントロールボードの通電時間は最大2秒ですので、それ以上必要であれば、複数回通電すればよいです。

YouTubeに動画をアップロードしました。溶接の様子をご覧ください。
https://youtu.be/jz8G4pxRWXM

YouTube video is also available in English language.
https://youtu.be/FoOZM5TgHq8


posted by ひら at 08:39| Comment(7) | スポット溶接機
この記事へのコメント
Posted by at 2022年08月10日 11:56
はじめまして横山と申します。スポット溶接機の制御に同じ物を使用したいと思い参考に記事を読ませてもらってます。赤いLED数字の表示は二桁のがふたつと三桁のがひとつありますがそれぞれ何の表示ですか?何となく想像は付くのですがその想像だけでは解りませんのでご教授頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
Posted by 横山 at 2019年11月04日 11:02
コントロール基板は以前紹介したパチンコ用のトロイダルトランス1個を使用したリチームイオン電池のタブ溶接用のスポット溶接機で説明しています。ページ左上のカテゴリーから「スポット溶接機」を選択するか、
http://hirakawa-jp.sblo.jp/category/4511391-1.html
へ直接入ってください。
Posted by ひら at 2019年11月05日 07:16
はじめまして。スポット溶接に興味を持ちyoutubeやブログを興味深く読ませていただきました。
ブログで紹介されている内容で質問です。
BMB製DA-01とはカラオケマシーンの本体型番でしょうか。それともパワーアンプの型番でしょうか。
現在、ヤフオクでジャンクのBMB UGA-N10 業務用カラオケが出品されておりますが、DA-01は出品されていないようです。
初歩的なご質問で申し訳ありません。ご教授いただけると幸いです。
Posted by toy at 2020年12月06日 21:46
toyさん、
DA-01はパワーアンプの型番と思います。数年前はヤフオクに不良品から正常品までたくさん出品されていましたが、最近はあまり見ませんね。
この手のカラオケマシンはリース契約などで、一定期間が過ぎると一斉に回収・放出されるのではないかと思います。
他のトロイダルコアを使用したパワーアンプを探すにはGoogle検索で型番を探し、画像を表示させると内部の写真が有ったりするので、それで確認されると良いと思います。
Posted by ひら at 2020年12月06日 23:20
早速のご返事ありがとうございます。
頻繁にヤフオクなど探してみます。
探し当てた暁には作成したいと思います。
Posted by toy at 2020年12月07日 19:39
初めまして、電気関係は素人ですが1000Wの電子レンジのトランスを使いスポット溶接機を作りました。0.8oのステンレス板を溶接するも熱が弱くがっちり溶け合いません。何か原因あるのでしょうか?
Posted by GP at 2022年01月16日 20:29
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