2019年01月15日

ホーム AC パワー アナライザ ⇒ 家庭の電気消費を見える化する

その5:インターフェースの製作(個別機器用)と校正

回路図と写真はここです。
Interface 1A-10A2.pdf

1. 注意点
1-1. カーレントトランス(CT)の穴を通る電線の巻き数は10A側が1回、1A側は10回となります。CTの巻き数は穴を通る回数を数えます。つまり、巻き数1回は穴を通過するだけで、実際は「巻き」ません。
カーレントトランスはコアを通過する電流の大きさに比例して二次側に電圧を発生しますが、一次側の電線をコアに複数回巻くと、電線を流れる電流が回数分加算されることになり、二次側の電圧は巻き数に比例して大きくなります。
1-2. CT(CTL-6-S32-8FCL)と220V入力の小型のトランス(Toyozumi 2H-605)は普通の部品やさんには売っていないかもしれませんが、通販ではマルツやモノタロウ、その他でも買えます。
(最新バージョンではCTを中国製のZMCT118Fに変更しました。国内の通販ではアマゾンで買えます(2週間後に中国から航空郵便で送ってきますが…)。その7を参照してください。)
1-3. 電圧を落とすトランスは100Vを入力ますが、一次側が220Vのトランスを使用しています。これは、220Vトランスの方が電圧波形の再現性が良好なためです。
1-4. 使用する抵抗はなるべく金属皮膜抵抗を使用してください。普通のカーボン抵抗では温度で抵抗値が変化し、測定値に影響する可能性があります。間違っても可変抵抗器を使用しないこと。
1-5. トランスの極性はわかりにくいです。配線図どおりに作っても逆に接続されている可能性があります。電圧と電流の山が逆になる場合(電力がマイナスに表示されます)はトランスの配線の極性を入れ替えるか、CTを逆に取り付けてください。

2. 校正(調整)
「その4:ダミーインターフェースを使用して試してみる」も参考にしてください。
校正に必要なものは、
- 最大2〜10A程度の交流電流を測定できるデジタル マルチメーター、またはクランプメーターで最小分解能が1mA以下のもの。
- 電流を安全に測定するためのワイヤーハーネス(100円ショップなどで売っている短い延長ケーブルを改造します。マルチメーターを使用する場合は配線の片側を切断し、マルチメーターの電流測定端子に接続できるようにします。クランプメーターなら2本の配線を割いて、片方をクランプメーターのプローブを入れるようにするだけです)
電流測定.jpg クランプメータ.jpg
左の写真のハーネスは電圧と電流を同時に測れるように作ったものですが、電流だけ計ることができれば十分と思います。
右の写真のクランプメーターは安物で、最小分解能が0.01Aなので使い物になりません。写真撮影用です。mAの単位で測れるものを使用してください。
- 100Wの白熱電球(実質90W程度みたいです。ホームセンターなどでソケットを買い、プラグを付けておいてください)。白熱電球は非常に熱くなるので、机の上などに置かず、延長コードなどを使用し吊るすようにしてください。

校正をする場合は少なくとも30分くらい前にパソコンを立ち上げ、外部のUSBオーディオキャプチャケーブルを使用する場合は接続しておきます。パソコンの起動直後とウォームアップの後では測定値が少し変化する場合があります。これは世の中のほとんどすべての測定器にも言えることです。

1. 校正手順
1-1. インターフェースの電源ケーブルをコンセントに接続し、AC100Vを入力します。煙が出ないことを確認します。インターフェースの1A-10Aの切り替えは最初は1Aにしておきます。
1-2. 100W程度の白熱電球をインターフェースのコンセントに差し込みます。インターフェースにオーディオケーブルを接続し、マルチメータの交流電圧レンジで左右の出力が数百mVあることを確認します。確認したら白熱電球は取り外します(熱いのでとりあえず)。
1-3. インターフェースの出力をパソコンのライン入力またはマイク入力とオーディオケーブルで接続します。ホームACパワー アナライザのソフトウエアを起動します。
1-4. 画面右上のインターフェースを選択するコンボボックス(「EXIT」ボタンの左側)でインターフェースを登録したい番号を選びます(デフォルト名はINTERFACE_1〜10)。その下の「キャリブレーションと設定」ボタンをクリックし、設定の小窓を開きます。開いたら、メイン窓のデータ表示エリアが見えるように位置を変えてください。
1-5. 設定の小窓のデフォルトは表示が英語なので、必要に応じて中央下側にあるLocaliseにチェックを入れると日本語に変わります。メイン窓の言語は設定の小窓を閉じたときに変わります。
1-6. 「サウンドインターフェース設定」を開きます。ボタンがグレーアウトしている場合は左上の「パラメーターロック」にチェックが入っていないか確認してください。Windows OSのサウンド設定の小窓が開き、録音のタブが選択されているハズです。
1-7. 使用する入力デバイスを選択し、「規定値に設定」をクリックします(すでに選択されているかも)。
他の入力デバイスが規定値に設定されていて、使用するデバイスを変更した場合は、全部の窓を閉じ、ソフトウエアを「EXIT」で一旦終了し、再起動後に1-3.に戻って同じ手順でサウンド設定を開きます。
最初から使用する入力デバイスが規定値に設定されている場合はそのまま次の手順へ進みます。当ソフトウエアは立ち上がり時の規定値の入力デバイスを使用します。
1-8. 規定の入力デバイスを選択し、右下の「プロパティ」をクリックすると、「マイク(ライン入力などかも)のプロパティ」窓が開きます。全部のタブを開いて、すべてのサウンド効果をオフにし、ゲインの自動調整などはチェックを外しておきます。マイクブーストが表示されていれば0.0dBにします。詳細タブの「規定の形式」はアプリ側で決めるのでどのような設定でも構いません。
1-9. 「レベル」のタブをクリックします。設定の小窓に表示されている「ハードウエア設定」の「入力ピーク値(左:電圧)」が20%〜30%程度になるようにレベルを調整します。マイク入力は感度が高いので低いレベル設定になり、ライン入力は高いレベル設定になるでしょう。ここでは細かく設定する必要はありません。大雑把に10とか20とか覚えやすいレベルに合わせます(音楽版デジ造PCA-ACUではゼロにするとちょうどよくなります)。「OK」でサウンドインターフェース設定を閉じ、設定の小窓に戻ります。
1-10. サンプリングレートを設定します。これはオーディオインターフェースが1秒間にサンプリングする回数です。USB接続のオーディオインターフェースでは48kHzまでしかサポートしていないですが、内部処理で仮想的に192kHzで処理をするので、使用中に特に問題が発生しなければ通常192kHzにしておいてください。1秒間に10回のデータ処理を行い、50Hzで位相角の分解能を0.1度にするには最低で1秒間に180,000回のサンプリングが必要ですので、当ソフトウエアでは192kHzのサンプリングレートを使用します。60Hz地域では216kHz以上のサンプリングレートが必要ですので、192kHzでは分解能が0.1〜0.2度になります。
1-11. DCオフセットは使用するオーディオ入力インターフェースにより違います(同じ製品でも違います)。DCオフセットの補正は必ず、電圧、電流、センサー位相オフセットを校正する前に行ってください。他の項目の校正に影響します。
白熱電球を再度接続してください。画面のDCオフセットの左と右の下の数字が1桁の数字でちらちらと変化しているのは問題ありませんので、補正は不要です。2桁以上ある場合はDCオフセットの補正が必要です。(ちなみに、実際に電子機器を測定すると、右(電流)のオフセットが1〜3桁くらいの数字で大きく変化する場合がありますが、それは接続している機器に流れるプラス側とマイナス側の電流が違うからで、実態を表しており、ホーム AC パワー アナライザは正常です。これで補正してはいけません。)
DCオフセットの下の「Read」ボタンを押します。テキストボックスにDCオフセット値が逆符号で読み込まれます。その下の「DCオフセット補正」にチェックを入れると、左右のDCオフセットがほぼ0になるはずです。数値が大きい場合はタイミングが悪かったのかもしれません。「DCオフセット補正」のチェックを外して「Read」を再度押してください。
1-12. 電圧の校正をします。マルチメーターでコンセントの電圧を測り、「現在の電圧」に測定した電圧を入力して[Enter]を押します。メイン窓の電圧表示がここで入力した「現在の電圧」と同じになります。なお、電圧は見ているうちに1Vくらいはふらふらと変化しますので、しばらくマルチメーターで電圧を観察し、中間くらいの数値を予想で入力しておき、その電圧になったら[Enter]を押すと良いでしょう。タイミングが外れたら、そのまま再度[Enter]を押せば同じ値が入力されます。
1-13. 電流の校正をします。マルチメーターかクランプメーターで白熱電球に流れる電流を測り、「現在の電流」にアンペアの単位で入力して[Enter]を押します(例えば、850mAであれば0.85と入力)。メイン窓の電流表示が入力した「現在の電流」と同じになります。なお、ACラインの電圧が変化するので、電流も見ているうちに数十mAくらいはふらふらと変化しますので、しばらくマルチメーターかクランプメーターで観察し、中間くらいの数値を予想で入力しておき、その電流になったら[Enter]を押すと良いでしょう。タイミングが外れたら、そのまま再度[Enter]を押せば同じ値が入力されます。
1-14. 「センサー位相オフセット」を補正します。白熱電球のように電流の位相が変化しない負荷でも、電圧と電流は違う経路を経由して入力されるので、位相がずれています。私が製作したインターフェースでは6〜10度くらいの位相ずれがあります。位相のずれはメイン窓の「位相角」に表示されています。「センサー位相オフセット」の右の「Read」を押すと逆符号の値が読み込まれ、位相が補正されて、「位相角」がほぼゼロになります。
電圧校正値、電流校正値、位相オフセット校正値はインターフェース毎に違うので、インターフェース毎の再校正が必要です。電圧以外は同じインターフェースでも、1Aと10Aレンジでは異なります。
1-15. 「アナログメータ最大値」と「最小値」はメイン窓のアナログパワーメータの目盛の最大値と最小値を決めます。最大値に1000と入力すると最大値は1000Wになり、1kと入力すると最大値は1kWになります。同時にデジタル表示の単位も変わります。
1-16. 「スムージング」は急な測定値の変化を滑らかにし、デジタル表示のちらつきやアナログの針の振れを軽減します。5か10が適当です。ソフトウエアは一秒間に10回のデータ処理を行いますが、数値は例えばスムージングが10の場合は過去9回のデータに現在のデータを加えて過去1秒間の平均値を表示します。
1-17. 上方にある「インターフェース名」は任意に変えることができます。例えば、「インターフェースNo.1 1A」と入力しておきましょう。次回からはこの名前でメインの窓からインターフェースを選択することになります。設定値はこの名前で保存されます。最大10のインターフェースを登録できます。
1-18. 一番下の「サウンドインターフェース情報」は単なるメモ書きです。校正に使用したサウンドインターフェースの名前やパソコンのレベル設定を書いておきます。
1-18. 一番上の「パラメーターロック」はせっかく校正したパラメータを不用意に変えてしまわないようにロックします。
1-19. CLOSEボタンを押して設定の小窓を閉じます。
1-20. 次に10Aレンジを校正します。別のインターフェース番号を選択して設定の小窓を開きます。インターフェースのレンジのスイッチを10Aに切り替えて、1Aレンジと同じように校正します。100W白熱電球で1Aレンジと10Aレンジ共に校正できます。私の例では、10Aレンジを100Wの白熱電球で校正しても、10A程度の電流で誤差は1%以下です。

2. 指定以外のカーレントトランス(CT)やトランスを使用する場合の注意
CTは用途に応じて適切なものを選びます。出力される電圧はそれぞれ違うので、出力抵抗を適切に設定しなければなりません。基本的には変流比(巻数比)が800〜1000のCTであれば出力抵抗は47〜51ΩくらいでOKです。
それ以外のCTや出力抵抗を使用する場合は次の点を考慮します。パソコンやオーディオ キャプチャ インターフェースによって違いはありますが、私の手持ちのパソコンを調べたところ、概ねオーディオのライン入力は実効値で1.6V(ピーク値で2.25V)くらいで飽和するようです。これはWindows OSのオーディオ入力のレベル設定とは関係なく、アンプの入力回路で決まります。この時にADコンバータの入力ピーク値が100%になるようにレベル設定をするとADコンバータの分解能(16ビット)を有効に使う上では理想ですが、このレベルに設定するとノイズが多くなり何も接続しない時に数mAの表示になることがあります。これを避けるためにオーディオ入力のレベル設定は20以下が適当です(パソコンやオーディオ キャプチャ インターフェースによって違いがあります)。入力が1.6Vくらい(つまりアナログが飽和し始める)の時にADコンバータの入力ピーク値が50〜60%くらいにするのがバランスが取れているようです。ADコンバーター入力の50%までしか使わないと資源の半分も捨てて損しているように感じますが、ADコンバータの16ビットの分解能を15ビットで使用するだけです。これでもまだまだ十分に余裕があり、測定値には影響しません。
もう一つ注意するのはクレストファクタ(交流電流のピーク値を実効値で割ったもの)です。サイン波のクレストファクタは1.414ですが、小型の電子機器では角のような電流波形になり、クレストファクタ4くらいになる場合があります。余裕を見て5まで対応すると、電流の実効値が同じでも、ピーク値はサイン波の3.6倍になります。つまり、アナログがひずみ始めるときのADコンバータ入力が50%とすると、測定しようとする最大電流のサイン波を入れた時に(1Aレンジでの校正時がこれに近い状態)ADコンバータの入力ピーク値は14% 以下でなければなりません。あまり小さくすると、小さい電流の測定に不利になります。これを念頭にインターフェースの出力電圧レベルを決め、CTの選定と出力抵抗値を決定します。
総合的に考えると、CTの出力抵抗の選定は、測定しようとする最大の電流の時に、出力電圧が400mV程度になるようにするとよいでしょう。
ACのライン電圧を測るトランスの選定は楽です。ACライン電圧は大きく変化せず、波形はサイン波に近いので、ADコンバータの入力ピーク値が5〜50%くらいに入っていれば問題ありません。AC100V入力時に、出力電圧が500mV程度になるようにトランスの二次電圧と降圧用の抵抗を選んでください。
レベルの設定は電流の測定に都合が良いところに合わせれば良く、左右(電圧/電流)を違うレベル設定にする必要はありません。
消費電力の測定だけに興味がある方は普通の100V入力のトランスを使用しても問題ありませんが、電圧の波形がひずみます。二次側に流れる電流は1mA以下なので、小さなトランスでも良さそうですが、大きなコアのトランスの方が波形の再現性が良いです(電流だけ考えると無駄に大きくて重たいけど)。

次は、家庭の全体の消費電力用のインターフェースです。
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