2019年01月15日

ホーム AC パワー アナライザ ⇒ 家庭の電気消費を見える化する

その4:ダミーインターフェースを使用して試してみる

1.ダミーインターフェース
インターフェースを製作する前にソフトウエアを試したい人は別のパソコンかスマートフォンを使用したダミーインターフェースを用意します。必要なものは、
1-1. パソコン(Win2000、XPのパソコンでもOKです。ステレオオーディオのライン出力があること)、またはスマートフォン
1-2. オーディオケーブル(両端がオスの3極ジャックのケーブル)
1-3. ソフトウエア:2チャンネルのオーディオテスト信号を作るソフトで、左右独立にレベルを設定できること、左右の波形の位相を変えられることが強く望ましいです。
- パソコンの場合のお勧めは「WaveGene」です(efuさんのWebページからダウンロードできます。http://efu.jp.net/index.html)。パソコンによっては実行時に「Microsoft Visual C++ Redistributableが無い」と怒られるかもしれません。その場合はマイクロソフトのサイトから探してインストールしてください。
- アンドロイドスマホの場合はKEUWLSOFT社の「Function Generator」が使用できます(他にもあるかも)。少し問題あるのは、設定した位相がほんの少し(1度以下)ズレます。ソフトのせいか、私のスマホのせいか?
私はアンドロイドを使用しているので、iPhoneは使用できるソフトがあるかわかりません。誰か教えてください。
インストールしたら周波数を1kHzくらいに設定して、左右のスピーカーからピーと音が出ることを確認してください。50〜60Hzの低い周波数ではパソコンやスマホの内蔵スピーカーからはほとんど音はでません。基本の使い方は使用するソフトの取説を参照してください。

こんな感じ、右のパソコンは小型横長画面のバイオ PCG-C1FX、2000年製(18年前)です。Windows2000でWaveGene (旧バージョンの V1.40)を走らせています(オーディオ出力がおかしいので、USB接続のライン出力を付けています)。別のページで紹介している、表面がささくれ立った液晶パネルの偏光板を張り替えたやつです。
DummyPCGVaio.jpg

WaveGeneの場合は次のように設定します。レベルと位相を変更することができるチャンネルを電流(右チャンネル)にします。





- Wave1の設定
波形:サイン波
周波数: 50Hzまたは60Hz
レベル:0db
変調:0%
出力チャンネル:R(右側、電流)
位相:0°

- Wave2の設定
波形:サイン波
周波数: 50Hzまたは60Hz
レベル:0db
変調:0%
出力チャンネル:L(左側、電圧)
Wave2には位相の設定はありません。

2.ソフトウエアのインストール
特別なインストールはしません。ソフトをダウンロードし、適切なフォルダの下に解凍してください。私はインストールを要しないソフトウエア(WaveGeneも同じ)はCドライブにOtherProgramsのフォルダを作ってその下に置いています。実行ファイルAC_Power_Analyser.exe へのショートカットをディスクトップに置いておくとよいでしょう。

3. ソフトウエアの設定とインターフェースの校正手順
少なくとも30分くらい前にパソコンを立ち上げてください。外部のUSBオーディオ キャプチャ インターフェースを使用する場合は接続しておきます。パソコンの起動直後とウォームアップの後では測定値が少し変化する場合があります。ただし、これは世の中のほとんどすべての測定器にも言えることです。
3-1. ダミーインターフェース(パソコンかスマホ)のソフトを起動して上のように設定し、PLAYボタンを押してオーディオを出力します。ボリュームを調整して、出力を80%程度にします。ライン出力(イヤホン出力)にオーディオケーブルを接続してマルチメータの交流電圧レンジで測ると数百mVの出力があるはずです。
ホーム AC パワー アナライザを使用するパソコンのライン入力またはマイク入力とオーディオケーブルで接続します。パソコンによってはケーブルを接続しておかないとライン入力を認識しないものがあるので、ホーム AC パワー アナライザのソフトを立ち上げる前に接続しておきます。
3-2. ホーム AC パワー アナライザのソフトウエアを起動します。
画面右上のインターフェースを選択するコンボボックス(「EXIT」ボタンの左側)でインターフェースを登録したい番号を選びます(デフォルト名はINTERFACE_1〜10)。その下の「キャリブレーションと設定」ボタンをクリックし、設定の小窓を開きます。開いたら、メイン窓のデータ表示エリアが見えるように位置を変えてください。
3-3. 設定の小窓のデフォルトは表示が英語なので、必要に応じて中央下側にあるLocaliseにチェックを入れると日本語に変わります。メイン窓の言語は設定の小窓を閉じたときに変わります。
3-4. 「サウンドインターフェース設定」を開きます。ボタンがグレーアウトしている場合は左上の「パラメーターロック」にチェックが入っていないか確認してください。Windows OSのサウンド設定の小窓が開き、録音のタブが選択されているハズです。
2-5. 使用する入力デバイスを選択し、「規定値に設定」をクリックします(すでに選択されているかも)。
他の入力デバイスが規定値に設定されていて、使用するデバイスを変更した場合は、全部の窓を閉じ、ソフトウエアを「EXIT」で一旦終了し、再起動後に2-2.に戻って同じ手順でサウンド設定を開きます。
最初から使用する入力デバイスが規定値に設定されている場合はそのまま次の手順へ進みます。当ソフトウエアは立ち上がり時の規定値の入力デバイスを使用します。
3-6. 規定の入力デバイスを選択し、右下の「プロパティ」をクリックすると、「マイク(ライン入力などかも)のプロパティ」窓が開きます。全部のタブを開いて、すべてのサウンド効果をオフにし、ゲインの自動調整などはチェックを外しておきます。マイクブーストが表示されていれば0.0dBにします。詳細タブの「規定の形式」はアプリ側で決めるのでどのような設定でも構いません。
3-7. 「レベル」のタブをクリックします。設定の小窓に表示されている「ハードウエア設定」の「入力ピーク値」(右:電流、左:電圧とも。これがADコンバータの入力になります)が10%〜40%程度になるようにレベルを調整します。マイク入力は感度が高いので低いレベル設定になり、ライン入力は高いレベル設定になるでしょう。ここでは細かく設定する必要はありません。大雑把に10とか20とか覚えやすいレベルに合わせます(音楽版デジ造PCA-ACUではゼロにするとちょうどよくなります)。「OK」でサウンドインターフェース設定を閉じ、設定の小窓に戻ります。
3-8. サンプリングレートを設定します。これはオーディオインターフェースが1秒間にサンプリングする回数です。USB接続のオーディオインターフェースでは48kHzまでしかサポートしていないですが、内部処理で仮想的に192kHzで処理をするので、使用中に特に問題が発生しなければ通常192kHzにしておいてください。1秒間に10回のデータ処理を行い、50Hzで位相角の分解能を0.1度にするには最低で1秒間に180,000回のサンプリングが必要ですので、当ソフトウエアでは192kHzのサンプリングレートを使用します。60Hz地域では216kHz以上のサンプリングレートが必要ですので、192kHzでは分解能が0.1〜0.2度になります。
3-9. DCオフセットは使用するオーディオ入力インターフェースにより違います(同じ製品でも違います)。DCオフセットの補正は必ず、電圧、電流、センサー位相オフセットを校正する前に行ってください。他の項目の校正に影響します。画面のDCオフセットの左と右の下の数字が1桁の数字でちらちらと変化しているのは問題ありませんので、補正は不要です。2桁以上ある場合はDCオフセットの補正が必要です。(ちなみに、本物のインターフェースを使用した実際の測定時に、右(電流)のオフセットが1〜3桁くらいの数字で大きく変化する場合がありますが、それは接続している機器に流れるプラス側とマイナス側の電流が違うからで、実態を表しており、ホーム AC パワー アナライザは正常です。これで補正してはいけません。)
DCオフセットの下の「Read」ボタンを押します。テキストボックスにDCオフセット値が逆符号で読み込まれます。その下の「DCオフセット補正」にチェックを入れると、左右のDCオフセットがほぼ0になるはずです。数値が大きい場合はタイミングが悪かったのかもしれません。「DCオフセット補正」のチェックを外して「Read」を再度押してください。
3-10. 電圧の校正をします。キーボードから「現在の電圧」に100を入力して、[Enter]を押してください。ソフトウエアに現在のLチャンネルに入力されている電圧が100V相当と教えます。メイン窓の電圧表示が100.0Vになります。
3-11. 電流の校正をします。キーボードから「現在の電流」に1を入力して、[Enter]を押してください。現在のRチャンネルに入力されている電圧が1A相当と教えます。メイン窓の電流表示が1000mA (または1.000A)になります。
3-12. 「センサー位相オフセット」を校正します。ダミーインターフェースでは左右の位相ずれはほとんどゼロかもしれませんが、使用するパソコン(スマホ)やオーディオインターフェースによっては左右の位相が合っていないかもしれません。本物のインターフェースでは数度程度の位相ずれがあります。位相のずれはメイン窓の「位相角」に表示されています。ゼロでない場合は右の「Read」ボタンを押すと逆符号の値が読み込まれ、位相が補正されて、「位相角」がほぼゼロになります。
電圧校正値、電流校正値、位相オフセット校正値はインターフェース毎に違うので、本物のインターフェースを使用する場合はインターフェース毎の再校正が必要です。
3-13. 「アナログメータ最大値」と「最小値」はメイン窓のアナログパワーメータの目盛の最大値と最小値を決めます。最大値に1000と入力すると最大値は1000Wになり、1kと入力すると最大値は1kWになります。同時にデジタル表示の単位も変わります。
3-14. 「スムージング」は急な測定値の変化を滑らかにし、デジタル表示のちらつきやアナログの針の振れを軽減します。5か10が適当です。ソフトウエアは1秒間に10回のデータ処理を行いますが、数値は例えばスムージングが10の場合は過去9回のデータに現在のデータを加えて過去1秒間の平均値を表示します。
3-15. 上方にある「インターフェース名」は任意に変えることができます。例えば、「ダミーインターフェースNo.1」と入力しておきましょう。次回からはこの名前でメインの窓からインターフェースを選択することになります。設定値はこの名前で保存されます。最大10のインターフェースを登録できます。
3-16. 一番下の「サウンドインターフェース情報」は単なるメモ書きです。校正時に使用したサウンドインターフェースの名前やパソコンのレベル設定を書いておきます。
3-17. 一番上の「パラメーターロック」はせっかく校正したパラメータを不用意に変えてしまわないようにロックします。アナログメータの最大値、最小値、スムージング、サンプルレートは校正が不要なので、ロックしません。
3-18. 設定画面のその他の項目(表示のみ)
- 入力ピーク値:オーディオインターフェースのADコンバータの入力です。レベルの設定にもよりますが、100%に達する前に、アナログの入力回路が飽和するようです。レベルを高くするとアナログの飽和とADコンバータ―の入力100%を一致させることはできますが、ノイズが多くなり何も接続していなくても数mAの表示になります。
- サウンドインターフェース再起動:ACラインには多くのノイズが乗っており、サウンドインターフェースが異常停止する場合があります。ソフトのワッチドッグ(番犬)で停止を検出したら、自動でリセットをかけ、再起動して、回数を表示します。個別機器用のインターフェース使用時はめったにありませんが、配電盤のインターフェースは1〜数日に一回程度再起動するようです。ソフトの実行ファイルが入っているフォルダのSoundIFError.Logに再起動した日時が記録されます。
- 最長ループ時間:100m秒ごとに一回の処理を行うので、一回の処理がこれより遅いと正常に働きません。我が家のマシンで一番遅いWindowsタブレット(Lenovo Miix28、Atom 1.33Ghz)でも大丈夫なようです。
3-19. 設定が終わったらCLOSEボタンを押して閉じますが、開いたままでも測定はできますので、とこか邪魔にならないところへ動かしてもOKです。

4. データ表示エリアの詳細説明
4-1. 有効電力:負荷が消費している実際の電力です。アナログとデジタルで表示します。
4-2. 電圧(RMS):交流電圧の実効値です。サンプリングデータの二乗平均平方根(RMS)で算出しています。
4-3. 電流(RMS):交流電流の実効値です。サンプリングデータの二乗平均平方根(RMS)で算出しています。
4-4. 皮相電力:電圧x電流の値で、単位はVAになります。電圧と電流の波形に位相ずれが無い場合は、有効電力と同じになります。
4-5. 位相角:電圧と電流の波形の位相差です。電流の位相が電圧より進んでいる場合はプラスで、遅れている場合はマイナスで表示します。
4-6. 力率:有効電力と皮相電力の比です。教科書には「力率=皮相電力xCOSθ(θ=位相角)」と書いてありますが、これは電圧と電流がサイン波の時だけ成り立ちます。実際の電圧と電流の波形、特に電流はサイン波とは大きく違うので、ホーム AC パワー アナライザでは電圧と電流のサンプリングデータを掛け算して有効電力を求めています。
4-7. クレストファクタ:電流波形のピーク値と実効値の比です。サイン波では√2=1.414になります。白熱電球ではほぼサイン波ですが、多くの電子機器では2.5〜4程度で、パルスのような波形になります。最近の冷蔵庫やエアコンのモーターも電子制御ですので、やはりクレストファクタが大きいです。
4-8. 周波数:説明不要と思います。ホーム AC パワー アナライザでは40Hz〜500Hzで一応正常に働くことを確認しています。
4-9. 積算電力:有効電力x時間で、単位はWh (kWh)です。電力会社から請求される金額はこの値に単価(28円/kWhくらい、段階料金や電力会社によって違います)を掛けます。開始、経過時間、停止時間で積算した時間を知ることができます。

5. 波形表示エリア
電圧(緑)、電流(青)、電力(赤)の波形を表示します。表示はオシロスコープに似ていますが、垂直軸の高さはそれぞれの大きさを表しません。常に電圧、電流、電力の波形の前半180度のピーク値をそれぞれ0.9、0.8、0.7の高さで表示します。したがい、プラス側とマイナス側で電流が違う負荷の場合は、波形の後半では0.9、0.8、0.7にはならないし、動的に変化する負荷もあり、その場合は波形の後半は踊ります。
水平軸は周波数にかかわらず、1サイクルを360度で表し、前後の45度も表示します。

6. 有効電力推移表示エリア
過去1分(1秒毎)、過去60分(1分毎)、過去1日(1時間毎)の電力の推移をグラフ表示します。たとえば、過去60分の表示では1分間の平均値を1分毎にプロットします。値は前回の表示から現在までを100mS毎に算出した値の平均値です。

7. ログ設定エリア
さらに長期に観測したい場合、およびエクセルなどにデータを取り込みたい場合はテキストファイルに1秒毎、1分毎、1時間毎に記録します。ファイルはテキストエディタでいつでも開くことができます。ただし、内容を変更して同じ名前で保存すると、開いていた間にホーム AC パワー アナライザが追加書き込みしたデータは上書きで消されてしまうので注意してください。
ログはテキストファイルですが、項目をコンマで区切っているので、拡張子をLOGからCSVに変えて保存すると、エクセルで読み込むことができます。

8. 試してみる
後は、ダミーインターフェースで遊んで(勉強して)みましょう。ダミーインターフェース(右チャンネル、電流)の出力電圧と位相をいろいろと変えてみてください。交流の基礎を勉強している人には役に立つと思います。
波形表示の赤い波形が電力です。電圧と電流の位相が同じ場合はプラスxプラス=プラス、マイナスxマイナス=プラスですが、位相がずれるとプラスxマイナス=マイナスの部分が発生し、電力がマイナスになります。つまり負荷がいったん受け取った電力を電力会社へ返品しているわけです。消費者都合での返品ですが電流はしっかり流れているので、送電線や配電線で発生するロスはすべて電力会社の負担になります。ちなみに、高周波の世界ではこれを「反射」と呼んでいます。
電力の波形は位相が合っているときは、正弦波の下限がゼロ、つまり常時プラスですが、位相をずらすと正弦波の下側がだんだんとマイナス側へ沈んで行き、90度でちょうど真ん中になり、電力会社からの納品と返品が同じになります。コンデンサやコイルで生じる負荷のキャパシタンスやインダクタンスでの位相のずれは最大で±90度です。仮に90度以上ずれると、合計の消費電力がマイナスになり、発電所になりますが、残念ながら、これは起こり得えません。
なお、WaveGeneは周波数や位相はプルダウンメニューから切りの良い値を設定できますが、直接キーボードから任意の値を入力することもできます。位相はマイナスの数値も入力できます(マイナス=遅れ)。

次は実際にインターフェースを製作して現実を見てみましょう。

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