2019年02月05日

ホーム AC パワー アナライザ ⇒ 家庭の電気消費を見える化する

その8:電圧の波形と使用トランス

その7でCT(カーレントトランス)の選択の条件を書きましたが、実は電圧の波形を見るためのトランスの選定も簡単ではありませんでした。それを紹介する前に、家庭に供給されている電圧の波形を見てみましょう(クリックすると拡大できます)。
Wave FG.jpg
Wave Supply.jpg









左はファンクションジェネレータから出力した理想的なサイン波(正弦波)です。右は家庭に供給されている交流です。ご覧のように頭がつぶれた形をしています。これは、供給されるサイン波の電圧に対し、電圧が高くなる部分で急に電流が大きくなる電子機器(クレストファクタが大きい、つまり電流の波形がとがったツノのような形をしている)の負荷の影響です。昔の交流モーターや白熱電流の時代には問題にならなかったことですが、今や洗濯機のモーターさえもインバーター制御で電子機器の一種です(クレストファクタをなるべく小さくする工夫がしてありますが、やはり電圧の波形とは大きく違います)。これは電力会社にとっては頭が痛い問題らしいです(供給される電力の品質が悪いと、機械の不調や故障につながる)。
さて、供給される交流の波形はとりあえず私にとってはどうでもよく、またどうしようもありません。私の問題は実際の電圧の波形をいかにそのまま忠実にPCの画面に表示するかです。AC100Vをパソコンのオーディオ入力に適した電圧(500mV程度)に落とすためのトランスが必要です。いったんAC100Vを3〜6Vくらいまで落として、さらに抵抗で500mVに落とします。抵抗で二次的に落とすのは、市販のトランスには500mVくらいまで落とせる適当な製品が無いからです。トランスの二次側の電流は数ミリアンペアしか流れないので、超小型のトランスで間に合うハズですが、これが最初のつまずきでした。
下の左側の写真は日本中どこでも容易に入手でき、最も安価(税抜100円)で市販されているトランス(当実験室調べ、中古やジャンク品を除く)で、二次電圧は無負荷で約4.6V、電流は135mA程度?小型軽量(重さ50g)でちょうどよいです。しかし、残念なことに二次側の波形はご覧のとおりです。これでは、見える化で恥ずかしい思いをします。これでもニッケル水素電池は文句を言わないのでしょう。
DAISO.jpg
Wave Daiso.jpg












そこで、きっとチープなトランスだからこうなるかと思い、素性がきちんとしているトランス(豊澄電機HP-510、重さ62g)を購入してみました。
http://www.toyozumi.co.jp/products/hp/pdfs/HP-510.pdf
結果は、ほんの少しだけましになりましたが、やっぱりダメです。
HP-510.jpg
Wave Toyoden 100V.jpg









次は素性不明の古いACアダプタに使用されていたトランスです。かなり良いです。これなら使えるでしょう。しかし、少し大き過ぎで(182g、40x35x30o)、形も悪く、小型のケースにはおさめにくいです。2台目を作ろうにも、人に紹介しようにも、入手が不安定です。似たようなACアダプタを入手しても、いちいち調べてみなければなりません。
AC Adapter.jpg
Wave AC adapter.jpg









ここで、またディープな世界に引きずりこまれました。調べたところ、波形のひずみの原因はトランスのコア(鉄心)のヒステリシスが原因のようです。つまり、トランスのコアの特性と励磁力です。ACアダプタに使用されている大きめのトランスが良かったのは、コアが大きいと同じ電流を流した場合でも、励磁力が相対的に小さいので、ヒステリシスが目立たないのでは?と考え、それなら小さ目のトランスでも、200V入力を100Vで使用すれば電流が少なく、励磁力が小さいのでは?と実験してみたのがこれです。
RSコンポーネントから115V+115V入力が可能なドイツ製のAVB1.5/2/6(重さ83g)を購入しました(現在はマルツの通販からでも購入可能のようです)。
https://docs-apac.rs-online.com/webdocs/127c/0900766b8127cc82.pdf
AVB.jpg



入力を115V接続と230V接続にして比較したのがこれです。小さいトランスなので写真左の115V接続はひずみが大きいですが、写真右の230V接続ならきれいに波形を再現できています。これなら、小型で使いやすいです。

Wave AVB 100V.jpg
Wave AVB 200V.jpg









さらに、国内で入手しやすい豊澄電機で一番小さい200V入力のトランス2H-605(重さ153g)も試してみました。コアが大きめなのもあり、このトランスも波形の再現は良いです。
http://www.toyozumi.co.jp/products/2h/pdfs/2H-605.pdf
2H-605.jpg
Wave Toyoden 200V.jpg









以上、インターフェースの回路図で指定しているトランス以外を使用したい人は参考にしてください。なお、トランスの出力電圧によって抵抗値を調整し、PCのライン入力を400〜500mV程度になるようにしてください。

ちなみに、実験中にヤフオクで日置電機製の商用電源の波形観測用のトランスを1000円で購入できましたので、これをベンチマークとして使用してみました。
HIOKI.jpg
Wave Hioki.jpg






2019年02月17日

ホーム AC パワー アナライザ ⇒ 家庭の電気消費を見える化する

その9:交流理論の基礎の見える化

ホーム AC パワー アナライザは「家庭の電気消費を見える化」がテーマですが、機能を利用して、「交流理論の基礎の見える化」としてちょっとした実験をして、YouTubeにアップロードしました。
https://youtu.be/RvSmkthdeP0

内容はこんな感じ、

● パソコンやスマホのソフトを利用したオーディオジェネレータを使用して、位相角と力率の関係を画面でお見せします
● コンデンサによる位相進み、コイルによる位相遅れを 画面でお見せします
● 電流の波形とクレストファクタと力率の関係を画面でお見せします

この動画の最後でお見せした、WaveGeneの任意波形発生機能を使用した、クレストファクタの大きい電流と電圧の波形のデーターはここからダウンロードできます。
Crest generator.zip

いつものように、ZIPファイルをダウンロードしようとすると、ブラウザから「一般的にダウンロードされているファイルではないので危害を与える可能性があます」と言われ、破棄を勧められることがあります。危害は与えませんので、安心して右側の「^」から「継続」をクリックしてください。