2017年09月02日

カトマンズの電線

他の人たちのブログなどを見ていると、タイやベトナムで街中の電線がもの凄い状態になっている話題が書かれています。実はネパールの電線も負けてはいません。さらに切れ端が歩道に垂れ下がっている状態でそれらを避けて歩かなければなりません。
重たそう.jpg沢山の電線.jpg
















タイやベトナムの電線について書かれたブログ、及びネパール関連のブログでも電線に関して書かれている場合が有りますが、一部では配電線と信号線を混同しているようなところが見られ、単純に感電の危険性が有るかのように書かれています。しかし、それはチョット違うなと思い、我がカトマンズの電線を調べてみました。
なお、この報告は私の観察、及び配電や通信の専門家ではない当地の機械系のエンジニアに聞いた話を元にまとめているので、間違いがあるかもしれません。

(1)電柱に巻き付いている黒い線の正体は?
カトマンズの中心部で地上まで端が垂れ下がっている電線を30本くらい確認してみました。切断面を見ると次の3種類の通信線でした。
光ファイバー.jpg
● 光ファイバーケーブル(3〜十数芯)(サンプルの半分以上)
● ツイストペア線(電話線、2〜数十ペア)
● 同軸ケーブル


いずれも丈夫なシース(絶縁被覆の外側に有る保護外被)で保護されており、引っ張りに耐えるようにシース内にスチールワイヤーが入っているか、沿わせてある(つまり断面がダルマのような形になっている)。
左は光ファイバーケーブル(クリックして拡大できます)で、光ファイバ5芯と上側にスチールワイヤが入っています。

(2)なぜこんな事になるのか
日本では電柱間に太めのスチールワイヤーを強く張って、通信線をそのワイヤーに吊り下げる施工方法が多いと思いますが、当地で使用している通信線は一本一本に引っ張りに耐えるようにスチールワイヤーが入っています。こちらの方が施工が簡単そうで、好きなだけ電柱間に通信線を張ることができそうです。でも、そもそもこの便利さが電柱がこうなってしまう原因だと思います。国の経済的な発展と共に通信線の本数が増えていきますが、電柱に取り付ける場所が不足してくるので、適当な所に取り付けたり、電柱には固定せず、既存の通信線に沿わせたりしています。
それにしても、なぜこんなに多くの通信線が必要なのでしょうか?原因は主に二つ有ると思います。@計画性が無く、将来の通信容量を予測した容量の大きい通信線を使用せず、必要になった分だけ容量の小さい通信線を追加していく。Aどこかで断線が発生した場合や通信線が不要になった場合、修理や交換、撤去するのではなく、断線した、不要になった通信線をそのまま残し、代わりの新しい通信線を引き直す。こんな理由で黒い線の塊がだんだん成長していくようです。エンジニアで無い人も含め、複数の人から半分以上が使用されていない通信線だと聞きました。新聞とかで話題になった事があるのかもしれません。
成長している.jpg
しかし、そもそもそんな頻繁に断線するものでしょうか?それが有るんですねぇ。
本来は電柱に金具やステンレスバンドを取り付けて、それに通信線を固定するようになってるようです。電線の密集度の低い電柱を見ると信号線が金具に固定されているものも有ります。私の想像ですが、近年になって本数が増えてくると正規に取り付けるスペースが不足し、適当に既設の通信線に絡めるだけのインチキな施工をするために、断線が発生し、新しい追加の通信線を既存の通信線に抱きつかせ重くなったり、電柱の適当な場所に巻き付けたりして、さらに断線が発生しやすくなり…の悪循環が発生していると考えられます。



傾いている.jpg
電線の重さに耐えかねている電柱も有ります。
でも、この電柱はもう何ヶ月も前からこの状態です。倒れるまでは電柱として機能しているので、修理の必要は有りません(ネパール流)。ネパールでは道を歩くのも自己責任ですから…。











垂れ下がっている電線の半分以上は光ファイバーであるのは、光ファイバーの断線事故が多い事を示していると思います。街中で光ファイバーの接続工事を行っているのを時々見かけます。カトマンズの街中はゴミと埃が多く、歩くのにマスクが欠かせないです。そんな中で工具や測定器を路上に置いて(埃だらけで)光ファイバーの接続工事をして大丈夫なのかと常々思っていました。これが直接に不通の原因では無いかもしれませんが、規定通りの作業をせず、とりあえず使えればOKの手抜きで済ませてしまう事は他の電気、機械、建設等の分野でも同じです。ネパール人のエンジニアやテクニシャンの多くは機械などが「今現在」正常に働いていればそれで問題なしとする施工や修理を行う場合が多いです。1ヶ月後、1年後にどうなっているかは問題とせず、他人事のようです(実際に他人事なのでしょう)。
実は、これが私の本職でも一番困っている問題です。

(3)結論は?垂れ下がっている電線を触っても危険は無いのか?
垂れ下がっているのは使用していない通信線なので、そもそも何も接続されていません。たとえ反対側が機器に接続されていても、通信線なので、危険なほどの電圧ではありません。もちろん光ファイバーケーブルには電圧はかかっていません。だたし次の理由により、絶対に安全だとは言い切れないと思っています。
街中の大きな道路に沿っている電柱は、一番上に3本の高圧配電線(イギリス式で三相11kVと思われる)、その下に低圧配電線(公称220V、実態190~230V)、その下に通信線が適当に(本当に適当です)巻き付けてあります。電柱の空いているところに取り付けるので、場所によっては通信線の束が配電線と同じ高さまで成長しています。通信線が上側に伸び給電線と交差(接触)してビルの2~3階に引き込まれているなどは普通です。引き込みも適当で、電柱から伸びている給電線や信号線が直接に窓の桟に穴を開けて室内に入ったりしています。配電線の分岐点や柱上トランスとの接続点は絶縁されていない部分が有るので、使用されていない通信線の端(切断面)に接触する可能性がありそうです。光ファイバーケーブルにも補強用のスチールワイヤーが入っているので同じ事です。スチールワイヤーは固いので切れ端がシースからはみ出ている事が多く、配電線に接触する可能性も高くなります。
配電線とごっちゃ.jpg通信線とごっちゃ.jpg
















このあたりの通信線はだんだん上の方へ成長して、配電線とゴッチャになっています。左の写真の3本の太い撚り線が220Vの低圧配電、右の写真は一番上から下に向かって、11kVの高圧配電、柱上トランス、220V低圧配電、通信線です。
燃えている.jpg
この電柱の通信線は燃えています。原因はわかりませんが、配電線と接触して燃えた可能性は有ると思います。それにしても、燃えた線くらい取り除いてから新しい通信線を施工してほしいものです。

結論として、垂れ下がっている電線(通信線)に高い電圧がかかっている可能性は低いですが、100本に1本くらいは危険な可能性が有ると思ってた方が良いでしょう。






首吊り.jpg
また、U字型に垂れ下がっている場合が有り、歩道をボーットして歩いているとか、道の端を自転車やバイクで走っていると首吊りになりそうな別の危険も有ります。
ちなみに、カトマンズの歩道は注意して歩かないと犬や牛の糞を踏みつける可能性が高いし、穴も開いていますので、上も下も注意が必要です。
カトマンズで歩きスマホをしていたら大変な目にあいます。








(4)じぁ、日本はどうなんだ?
さんざんカトマンズの電線の悪口を書いてしまいましたが、実は日本の電線状況もヨーロッパの人たちから見ればカトマンズと五十歩百歩の違いにしか見えないでしょうね。「やっぱり日本の電線は違うね。整っていて綺麗だ」なんてお褒めの言葉は無いでしょう。
新橋の電線日本の電線
















このブログを読んでいる人なら日本人なので日本の状況の説明は不要でしょうが、日本とヨーロッパの違いを改めてみると改めて驚きます。左は新橋駅前の裏通り、右は神奈川県の湘南地方(相模湾沿岸)の地方工業都市の住宅街です。
Google Street View image APIを使用しています。残念ながらカトマンズでは未だ使えません。
クルー市の電線
この写真の通りは以前私が務めていた自動車会社の工場が有るイギリスのマンチェスター南方の地方工業都市の住宅街です。工場の一般労働者が多く暮らしている通りです。決して高級住宅街ではありません。

posted by ひら at 20:40| Comment(0) | ネパール

2017年09月17日

機械の神様 ビッショカルマ(ビシュワカルマ)(ヴィシュヴァカルマン)

ヒンズー教(ヒンドゥー教)には多くの神様がいて、その神様毎にお祭りの日が有り、主要な神様のお祭りの日は祝日になります。ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ等の神様の話はググれば沢山出てくるので、その分野が得意な人たちにお願いして、当ブログでは触れません。
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ビッショカルマ(ビシュワカルマ?)は機械の神様で、普段からこのような絵が工場などに飾ってあります。「機械」と言っていますが、非常に広義の意味で、物理的に物を作る事、メカだけではなく、電気、工芸、建築なども含む意味のようです。現在の日本風に言えば「モノ作りの神様」でしょうか。ネパール歴の6 (アソージ)月1日(2017年はグレゴリオ暦の9月17日)はビッショカルマのお祭りの日です。
この日は祝日ではありませんが、多くの技術系、技能系の職場では前日に清掃を行い、祭壇を設けてお祈りの準備をします。祭壇には普段使っている工具なども置いてあります。当日は操業を休んでお祈りを行い、取引先を招待して、従業員に食べ物をふるまいます。その後は音楽を流したり、おしゃべりをして過ごします。
右上の写真のオレンジ色のズボンをはいている人がヒンズー教のグル(導師)で祭壇になにか置いているのが工場の責任者です。椅子に座っているのが工場の幹部職員で、写っていませんが、後ろに他の職員がいます。この後にそれぞれお祈りをしてグルからティカ(額に赤いスポット)を付けてもらいます。
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自動車の運転をする人、特にバス、タクシー、トラック等のプロのドライバーはエンジンルームを飾り、無事故、無故障での運転を祈ります。多くの自動車はラジエターグリル、ドアミラーやホイールに赤白、その他の色のリボンを付けたまま走っています。中には自然に落ちるまで(どうかすると数か月)そのまま走っている人もいます。また、一般の人でも自宅の色々な機械に飾り付けをしてお祈りする人もいるらしいです。
写真の車はネパールで一般的なマルチズズキのタクシーです。



ちなみに、ネパール人の発音ではビッショカルマと聞こえるし、ネパール人もそれで良いと言うのですが、ビッショカルマでググってもあまりヒットしません。やっと分かったのは、この神様は日本語表記では「ヴィシュヴァカルマン」で、真ん中の「ヴァ」と最後の「ン」を弱く発音するようです。初めの「ヴィ」は英語表記ではBとVのどちらも有ります。最後の「ン」は英語表記でも最後に「n」は入ってないし、ネパール語表記でもविश्वकर्माなのでやっぱり「ン」は入っていないと思うのですが…。外国語の発音は難しいです。
他の日本人のブログなどでは「ビシュワカルマ」とも書いています。
もっと詳しく知りたい人は「ヴィシュヴァカルマン」か Bishwokarma、Bishwakarma、Vishwakarman、Vishvakarmanなどでググってください。

posted by ひら at 19:00| Comment(0) | ネパール

2017年09月19日

カトマンズの電線…続報

当ブログにカトマンズの電線がすごいとの情報を載せたら、早速カトマンズ市当局が反応しました(すごい偶然のタイミング)。当地の英字新聞によるとネパールテレコムが不要の通信線を撤去したとの報道です。撤去した通信線が山になっています。以前から撤去するつもりでは有ったようです。しかし、これでもカトマンズの不要な通信線の1%にも満たないでしょう。
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撤去した場所は私のアパートからすぐ近くなので、どんな具合か早速仕事帰りに見てきました。この道路沿いは撤去前の写真を取っていないので比較できませんが、他の地域の現状と比較して、鳥の巣だった電柱の周りが、何となく床屋さんで散髪した感じにはなっています。電柱間は電線を束ねています。それでも電線の本数が多い(低容量の通信線を必要に応じて追加していく方式)ので、すっきりとは言い難いです。また、電柱から建物への引き込み線には手を付けていないらしく、ゴチャゴチャのままです。
でもまあ、最初からこのレベルであればブログで書かれるほどの醜さは無いと思います。今後また成長していかなければ良いですが。
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ここでも通信線が焼けた電柱を発見しました。この状況からこの道路沿いを優先的に整理したのかもしれません。











posted by ひら at 22:21| Comment(0) | ネパール